AISASモデルの特徴と実際の成功事例3選

AISASモデルを理解して購買行動を促進しよう

マーケティングにおいて消費者が何を考えてどのような要素を判断基準にし、どのタイミングで消費行動に移るのか、そして目的のものを手に入れて満足した後はどの程度の期間を置けば新しいものをほしがるかを知ることは非常に大切です。どんなに良い商品やサービスを作っても、消費者の選択肢にあがらなければそもそも購入されることもないため企業は倒産してしまうでしょう。

そのように消費者が商品やサービスを認知してから購入し、さらに購入後に至るまでの購買行動は、ある程度パターン化されるため色々なモデルが知られています。そのモデルの一つであるAISAS(アイサス)モデルは、現代の消費者の消費行動を非常によく表していると評価が高いモデルだと言われています。そのAISASモデルについて、基本的な知識はもちろんAISASモデルに最適なマーケティング手法、そして実際にAISASモデルを活用している事例やAISASモデル以降に活躍すると言われているモデルに関しても学んでいきましょう。

AISASモデルとは

そもそも、AISASモデルとはどのような一連の行動パターンをモデル化したものなのでしょうか。AISASモデルはどういった理論なのか、特徴やメリット・デメリットはどのようなものがあるのか、そして混同されがちなAIDMAモデルとの違いなど、基本的な知識を把握していきましょう。

マーケティング理論の一つ

AISASモデルは、他の多数のモデルと同じようにマーケティング理論の一つであると言われています。AISASモデルでは、特定の商品やサービスを購入するまでの間に、消費者が行うと言われている購買行動を単純化しパターン化しています。微妙な差異はあれど、多くの消費者が購入に至るまでに行う行動一つ一つをパターン化し、まとめたものがAISASモデルとして知られています。

AISASモデル自体の特徴として、詳しくは後述しますがインターネットの存在を組み込んでいる現代的な行動モデルであることが最大の特徴です。購買モデルの中にはインターネットが存在するよりも以前から提唱されているものもあり、その多くが現代の消費者の行動様式と乖離してしまっていますが、AISASモデルは現代の消費者の行動に寄り添ったモデルとあるといえるでしょう。

そのように非常に高い評価を得ているAISASモデルですが、実は日本の広告代理店である株式会社電通が提唱したモデルであることはほとんど知られいません。しかしながら、商標登録もされているほど有名なモデルであることには変わらないので、提唱したのが誰かという点も一緒に覚えておくと良いでしょう。

英単語の頭文字

マーケティング理論においては珍しいことではありませんが、AISASモデルもそれぞれの英単語の頭文字をとって名付けられた購買モデルです。AISASモデルは「Attention(注意)」、「Interest(関心)」、「Search(検索)」、「Action(行動)」、「Share(共有)」の5つの英単語の頭文字から名づけられています。

それぞれを詳しく見ていくと「Attention(注意)」はまず、商品やサービスの存在自体を広告・ニュース・SNSといった普段の情報収集源から認知する段階となります。その後、「Interest(関心)」に移ると、その認知した商品やサービスが自分にとって有用なものであるかどうかを考え、「Search(検索)」で商品やサービスをさらに自分の生活に組み込んだ形で調べるようになり、購入する価値があるものかどうかを調べる段階になります。この「Search(検索)」ではインターネット上の口コミを参考にする人が多く、周りの既に商品やサービスを利用している人よりもインターネットの口コミを参考にするという人も少なくはありません。

「Search(検索)」までが終わり購入する価値があると判断されると、次は「Action(行動)」として実際に購入して利用してみることとなります。以前であれば、この後は商品やサービスに対する満足度が高くても低くてもここで終わりになっていましたが、現在は「Share(共有)」というフェーズがあり、実際に商品やサービスを利用してみた感想をレビューサイトや口コミサイト、あるいは自分自身のSNSに投稿します。商品名を明記して「〇〇がとても良かった or 悪かったから買わない方が良かった」と感想を投稿する人もいれば、諸品名やサービス名はある程度ぼかしつつ「この前買おうと思っていたA社の商品だけど~」のように書く人もいますが、多くの人が誰かに感想を共有することは決して珍しいことではありません。

以前までであれば、消費行動としては単に「注意→関心→行動」のみで完結していましたが、電通の提唱しているAISASモデルはインターネットの存在を重要視しているモデルのため「検索」や「共有」といった行動フェーズが組み込まれています。AISASモデルに消費者の行動を当てはめて考える際には、この「検索」や「共有」のフェーズを重要視すべきだと言えるでしょう。

特徴

AISASモデル最大の特徴といえば、やはり「検索」や「共有」といったフェーズが存在している点です。インターネットの存在を前提としているモデルですので、消費者間でAISASモデルが循環することも珍しくはありません。すなわち、誰かの商品やサービスを利用した後の書き込みを見て「Attention(注意)」が発生し、情報を集めて購入し「Share(共有)」まで至ることによって、また新たな「Attention(注意)」が発生してAISASモデルが循環していくことになります。

これは、ポジティブな「Share(共有)」が起こることで企業がプロモーション費用をかけなくても口コミが広がっていって多くの人に認知されるといったメリットが生まれることもあるでしょう。場合によっては、企業が全く意図していない売上が発生して嬉しい誤算が生じる場合もあります。しかしながら、当然ながら商品やサービスのクオリティによっては悪いイメージが拡散されていくこともあるので注意しなければなりません。AISASモデルにおいて、消費者の「Share(共有)」は自然発生するものですので、企業が止められることはありません。すなわち、一度悪いイメージが拡散してしまうと、商品やサービスを元に戻ることはない可能性もあるのです。さらに、本来の「Attention(注意)」から始まるAISASモデルとは無関係に、「Share(共有)」で悪いイメージを見た人が「自分は使ったことないけど、悪い口コミを見たことがある」と拡散する例もあります。このように、AISASモデルにはメリットも多い一方でデメリットも非常に多いことは忘れてはいけません。

AIDMAモデルとの違い

AISASモデルについて調べていると、AIDMA(アイドマ)モデルと似通っていることに気付く人もいるでしょう。AIDMAモデルは購買行動モデルの中では最も基本的なフレームワークであると言われていて、多くの企業で採用されているモデルです。1920年代に販売や広告に関する実務書を執筆したサミュエル・ローランド・ホール氏が提唱したことでも知られていて、「Attention(注意)」、「Interest(興味)」、「Desire(欲求)」、「Memory(記憶)」、「Action(行動)」という5つのフェーズで成り立っています。

このAIDMAモデルは消費者の購買行動と認知段階(Attention)、感情段階(Interest・Desire・Memory)、行動段階(Action)の三つに分けた上で感情段階を細分化しているモデルとして知られていて、AISASモデルに限らず多くの購買モデルはAIDMAモデルを元にしていると言われています。実際、AISASモデルもAttentionなどの時代が変化しても変わらない部分に関してはAIDMAモデルを参考にしていると言えるでしょう。ただし、既に解説した通りAIDMAモデルは1920年代に提唱されている古いモデルです。そのため、当然ながらインターネットやSNSといった存在は考慮されていません。そのため、現在はAIDMAモデルを元に考案されたAISASモデルなどの現代社会に適応した購買モデルを活用している企業も少なくはありません。

AISASモデルに最適なマーケティング手法

AISASモデルは消費者の認知から購買に至るまでの行動を分析するために非常に優れた購買モデルです。では、そのAISASモデルを活用する時に併用することで効果を発揮するマーケティング手法としてはどのようなマーケティング手法があるのでしょうか。ここでは、数多くのマーケティング手法の中から特に相性が良いと言われている4つのマーケティング手法について解説していきます。

バイラルマーケティング

バイラルマーケティングは、その名の通りViral(ウイルス)を連想させるようなマーケティング手法です。バイラルマーケティングでは、商品やサービスを実際に利用した消費者が、思わず友人や同僚に対して紹介したくなるような仕掛けを作っていくことが重要です。特に単なる口コミで評判を広げていくのではなく、インターネットやSNSを活用したくなるように仕向けることから情報が広がる速度が速く、ウイルスの感染のように一気に広まっていくことから「バイラル」と呼ばれています。

AISASモデルの「Share(共有)」による拡散と似ている部分はありますが、バイラルマーケティングでは「この商品のサンプルセットが欲しい人はSNSに拡散しよう」などの仕掛けで、商品に対してポジティブなイメージを抱いている人の拡散を増やす仕掛けが施されています。すなわち、AISASモデルのデメリットであるネガティブなイメージが拡散されるのを防ぎ、企業が意図的にポジティブなイメージを拡散させることができるのです。すなわち、バイラルマーケティングを活用することで企業がAISASモデルのメリットだけを享受することも決して不可能ではありません。ただし、バイラルマーケティングは活用方法を間違うとステルスマーケティングだと認識されて企業イメージを大きく損なう恐れがあるマーケティング手法です。活用する際には十分に留意して活用してください。

バズマーケティング

バズマーケティングもバイラルマーケティングと似ていて口コミを積極的に活用することで商品やサービスの知名度を高め、企業がプロモーション費用を削減しつつも広く認知度を高めることを目的としているマーケティング手法です。以前は単に友人や同僚間での口コミを想定したマーケティング手法でしたが、現在はInstagramやTwitter等で口コミが広がりやすいことから、インターネットを効率的に活用することが前提とされています。

企業自身が、いわゆる「バズる」ような投稿をして拡散を狙い認知度を高めることもできますが、インフルエンサーなどの強い影響力を持つ消費者に依頼して人為的にバズらせることによって一気に認知度を高めることもバズマーケティングの一種として知られています。

このバズマーケティングも、企業が口コミの内容をある程度コントロールすることができるため、先ほど紹介したバイラルマーケティングと同様にAISASモデルのメリットだけを享受してプロモーション費用を大幅に削減することも不可能ではありません。しかし、当然ながらバイラルマーケティングと同様に企業が意図的に口コミを操作するステルスマーケティングであると誤解されてしまうリスクはあります。バイラルマーケティング同様にバズマーケティングを活用する際にも注意して活用してください。

SNSキャンぺーンの開催

SNSキャンペーンとは、多くの場合InstagramやTwitterを用いて行われるマーケティング手法です。たとえばInstagramであれば企業が投稿した特定の内容に対して、企業アカウントをフォローした上で「いいね」やコメントをすることで豪華な景品が当たるという内容が多いですし、Twitterであれば企業アカウントをフォローした上で特定の投稿をリツイートしたりアンケートに答えたりすることで景品が当たるという内容が多いと言われています。このSNSキャンペーンの景品には図書カードやAmazonギフトカードなどの汎用性が高いものが設定されることもあれば、企業の人気商品や限定デザインの商品が設定されることもあり、まさに企業の特徴が色濃く反映されるキャンペーンです。こうしたSNSキャンペーンを有効的に活用することにより、AISASモデルにおける「Attention(注意)」や「Interest(関心)」、あるいは「Share(共有)」を一気に増やすことが可能になります。

たとえば企業アカウント自体の認知度を高めてフォロワーを増やしたいのであれば、誰でも使いやすいAmazonのギフトカードなどを景品として用意し、拡散をSNSキャンペーンの参加要件としておくことで一気にフォロワー数を増やして商品やサービスに対する「Attention(注意)」を増やすことができるでしょう。さらに、ある程度フォロワーを抱えながらも商品やサービスの認知度が足りていないという状況であるならば、人気商品を景品とすることで「Interest(関心)」を増やし、当選者以外にも「Search(検索)」を経て「Action(行動)」に至る人を増やせる可能性もあります。もちろん、当選者による「Share(共有)」を必須にしておくことでSNSキャンペーンの当選者のポジティブなイメージを広く拡散することも可能になります。

こうしたSNSキャンペーンは基本的に企業が多くのフォロワーを獲得し、さらにフォロワーからのアンフォローを防ぐ目的で開催されることがほとんどです。しかしながら、AISASモデルに当てはめてみると単に情報発信を受け取る層を増やすだけではなく購買行動自体を促進させることも可能であることが分かります。消費者の消費行動を分析しながら適切なタイミングでSNSキャンペーンを開催していくことを恒例化するのも良いのではないでしょうか。

インフルエンサーマーケティング

最後に、インターネットを使うマーケティング手法として現在最も注目されているインフルエンサーマーケティングもAISASモデルとの親和性が非常に高いと言われていることも忘れてはいけません。AISASモデルでは「Share(共有)」によって消費者自身が広告塔となり新たな消費者を生み出すことが特徴的な行動として設定されていますが、その「Share(共有)」の中に企業が意図しないネガティブなイメージが多く含まれるというリスクがあります。しかしながら、インフルエンサーを起用することで企業自身が推奨するポジティブなイメージを多く拡散できるというメリットを享受することができます。

インフルエンサー自身が一般の消費者よりも強い影響力でポジティブなイメージを発信することにより商品やサービスへの注目度が高まるだけではなく、「あの人が良いと言っているものなら、実際に効果があるに違いない」という印象を消費者に植え付けてネガティブなイメージを抱きづらくさせる効果も期待できます。さらに、バイラルマーケティングやバズマーケティングのように企業が主導するマーケティング手法とは違い、インフルエンサーマーケティングではインフルエンサーが本当に良いと認めたものしか紹介されないケースが多いため、信頼度も高くなります。

すなわちバイラルマーケティングやバズマーケティングのように「サンプルほしさに良い口コミをしている消費者」ではなく、インフルエンサーでは「企業に依頼されたものの、自分で使ってみて納得した上で紹介しているインフルエンサー」が広告塔となるため、信頼度が大きく異なるのです。さらにインフルエンサーマーケティングには、情報社会に住み企業からの広告に多くさらされることによって企業が主導する広告を嫌いがちな消費者でも受け入れやすいというメリットがあります。つまり消費者に「企業臭さ」を感じさせることなく、ポジティブな口コミを受け入れさせることができるということで、インフルエンサーマーケティングをAISASモデルに組み込むと高い効果を発揮するのです。

AISASモデルを活用している成功事例3選

企業が介入する場合でも介入しない場合でも、良い口コミを拡散させることに成功すれば一気に消費者を増やしてさらに良い口コミが増えて消費者が増えていくという良い循環を生み出すことができるのがAISASモデルの特徴です。効果的に活用することができれば、プロモーション費用をほとんどかけなくてもファンを指数関数的に増やしていくことも可能でしょう。しかしながら、実際はAISASモデルを活用しても良い口コミを増やすことはそれほど簡単ではありません。企業が介入しているはずなのに、予想外に悪い口コミばかりが広がってしまい収集がつかなくなるケースもあるでしょう。

では、実際にAISASモデルを活用して成功を収めている企業にはどのような企業があるのでしょうか。ここでは実際にAISASモデルを活用している成功事例を3つ紹介していきます。AISASのそれぞれのフェーズを解説していきますので、各フェーズにおいてどのような工夫を凝らすことで成功できるのかといった参考にしてください。

RIZAP

現在は知らない人を探す方が難しいというほど、ジムの中でも知名度が高いRIZAPはAISASモデルを活用している事例として広く知られています。ジムといえば基本的には健康に対して強い関心を持っている人や、ダイエットに興味を抱いている人しか認識していないことも珍しくはありません。しかしながら、RIZAPは多くの人に認知されています。その高い知名度の理由をAISASモデルに当てはめながら分析してみましょう。

●A:Attention(注意)
AISASモデルで最も大切なのは、まず商品やサービス自体が認知されることです。この点において、RIZAPは注意を惹くために競合他社との差別化を意識したテレビCMを作成しました。通常、ジムやスポーツ施設といえば爽やかさを強くアピールしつつ明瞭な料金設定や通いやすさ、立地や営業時間などをPRして消費者の関心を惹くCMを作りがちですが、RIZAPの場合はそうした競合他社と差をつけるために独特なCMを作成しました。

結果的に耳に残りやすい独特な音楽と爽やかさとは対極に位置する真っ黒な背景を強調したCMを作成することで、スポーツジムながら他のジムとは大きく違うCMを作成することに成功しました。これにより、今までジムに対して興味を抱かなかった人に対しても「変な音楽が流れるCMはRIZAPというジムのCM」という印象を持たせることに成功したのです。

●I:Interest(関心)
独特なCMで競合他社との差別化に成功したRIZAPは、次の段階としてターゲットに対してアプローチをすることにより潜在的な顧客を増やすことを始めました。RIZAPがターゲットに据えたのは「痩せたい人」の中でも特に「痩せたいビジネスパーソン」であり、短時間で効率的に効果が出ることが求められています。そのため、まずは著名人をCMに起用して効果が確実なものであることをアピールし、さらに数値だけではなく実際にビフォーアフターの分かりやすい映像をCMで流すことでも効果をアピールしました。さらにキャッチフレーズとして「2ヶ月でこの身体」というフレーズを流すことで忙しい人でも短期間で結果を出せることをアピールしました。これだけではなく「結果にコミットする」というフレーズでは「コミット」という日常生活ではあまり使われないビジネス用語が使われています。これにより、主婦や学生よりも「コミット」という言葉を聞く機会が多いビジネスパーソンから多く関心を持たれることに成功しました。

●S:Search(検索)
AISASモデルでは、関心を抱いた人が検索した時に分かりやすく情報が入手できるような仕組みを作っておくことが重要となります。その点もRIZAPは先んじて対策をしており、公式ホームページでは料金設定やRIZAPのシステム、効果といった消費者が知りたいと思っている情報が分かりやすく表示されるようになっています。

さらに、SEO対策も行っていて「RIZAP 悪評」や「RIZAP 不満」、あるいは「RIZAP 効果なし」で検索してもネガティブな情報は出てこないようになっていてポジティブな情報を自然と集められるようになっています。これはRIZAPが虚偽の情報を流しているわけではなく、効果がない人が書いたブログであっても「残念ながら私には効果はありませんでしたが、私と違って食事制限(もしくは定期的に通える、自制できるなどRIZAPで効果を出すために必要な要素)ができる人であれば効果が出ることは間違いありません」のような内容が多く出てくるようになっているのです。

実際、RIZAPは非常に厳しいと評判ではあるものの「〇〇ができる人なら成功間違いなし」のように言われると「それなら自分でもできるかもしれない」と思う人は多いでしょう。このようなSEO対策も含めて検索した時の情報に対して企業側の介入があることで、AISASモデルは良い方向に向かいやすくなると言われています。

●A:Action(行動)
Search(検索)によって「自分なら結果が出そう」と思った人が実際に行動に移す上で、ハードルとなりがちなのが商品やサービスの価格です。実際、RIZAPもジムとしては競合他社よりも圧倒的に高い2ヶ月で約30万円という値段設定のため、価格を見て痩せたくても通えないと感じている人も少なくはありません。しかしながら、RIZAPは「効果が実感できない場合の30日間全額返金保証制度」を用意しています。これは入会から30日の間であれば効果が出ないと感じたり合わないと感じたりした時に購入した物品を除いてコース料金などを全額返金することができるという制度です。

この制度があることで「家計的に30万円を払うことはできるけど、効果が出るかどうか分からないから試すのは躊躇する」という人を入会させ、その中で効果を実感できた人に継続してもらえる可能性が高くなります。元から30万円を払うことが厳しい人を顧客にすることは無理でも、「試す」ことへのハードルを低くすれば実際に効果を実感して継続する人も少なくはないでしょう。AISASモデルでは、このように企業側が消費者が購買行動を取りやすいように後押しをすることも重要です。

●S:Share(共有)
AISASモデルにおいて、一般的には消費者が自分自身のSNSで商品やサービスの感想を投稿をするのがShare(共有)にあたります。しかし、RIZAPは企業自身も積極的に介入することによって共有の速度をあげ知名度のアップに貢献しています。たとえば、テレビCMでビフォーアフターの姿を公開することも共有の一種ではありますが、それだけではなく有名人がRIZAPを利用して実際に痩せるまでの過程をバラエティ番組などで公開しています。こうすることで、ブログなどで静止画で共有するだけでは伝えることができない、実際の過程を伝えることができるためRIZAPの効果が分かりやすくなるでしょう。

もちろん、テレビの中で芸能人の痩せていく過程が共有されるだけではなく、実際にそうした芸能人の姿を見てRIZAPを利用している同僚の姿を身近で見ることでRIZAPの効果を実感して利用に対して前向きな気持ちを持つという人もいるでしょう。そういった人がRIZAP対して強い興味を抱き「Search(検索)」フェーズまで至った時、入会しやすいように紹介制度を用意することで口コミで多くの入会者を確保することができるのです。すなわち、RIZAPは口コミで広がっていくことを期待しているため広告費用を削減することにも成功しているといえるのです。

メルペイ

フリマアプリ、メルカリなどで使える電子決済サービスであるメルペイもAISASモデルを活用することで利用者を増やすことに成功した事例として知られています。会員登録増加施策の「すすメルペイキャンペーン」がどのようにAISASモデルを活用したのか確認してみましょう。

●A:Attention(注意)
まず、メルペイは動画広告を使いサービスの認知度を高めました。基本的に動画広告による認知度の上昇には、RIZAPと同じようにテレビCMが使われることが多いのですが、メルペイの場合は電子決済サービスということで若年層を中心としてテレビをあまり見ずにスマホで情報収集をする人たちもターゲット層となります。そのため、動画広告をテレビCMだけではなくSNSにも広告出稿をして認知度を高めることでメルペイへの注目を一気に集めることに成功しました。

●I:Interest(関心)
さらにメルペイは、認知度を高めた後に強い関心を持たせるための施策としてターゲット世代である若年層に人気の高いYouTuberであるHIKAKINさんやはじめしゃちょーさん、そしてターゲット世代に指示されている歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんを起用することで興味を集めることにも成功しました。

このように、ターゲット層の嗜好を踏まえた上で広告塔を選ぶことは非常に有効です。芸能人や著名なYouTuberに限らず、インフルエンサーを起用する際にも重要な着眼点ですので覚えておくと良いでしょう。

●S:Search(検索)
動画広告は多くの人に対して一気にアプローチができるというメリットがある一方で、テレビCMでもSNSでも短い広告になってしまうため必要な情報を伝えることが難しいというデメリットもあります。そのため、メルペイは検索して詳しくシステムを知りたいと考えるユーザーに対して分かりやすく公式ホームページにて説明を行ってます。これはRIZAPの事例でも行われていることですが、SNSなどで「見かけるだけ」の人が少なくはない現代社会において、公式ホームページの分かりやすさや見やすさ、情報量の大切がよく分かる事例だといえるのではないでしょうか。

●A:Action(行動)
メルペイの場合、登録によって特別な料金がかかるということはないのでRIZAPの返金保証制度のように特別な制度は設けられていません。商品・サービスの価格や利用方法によっては、特別な工夫が必要ではない場面も珍しくはないので覚えておくのも良いのではないでしょうか。

●S:Share(共有)
実際のAction(行動)時点では特別な工夫などはないメルペイですが、Share(共有)が起きやすい工夫を作ることによって、新たなAttention(注意)が発生するような仕組みになっています。メルペイでは、Twitterなどの自分自身のSNSで指定された招待コードを投稿して友達を紹介することでポイントが付与されるようになっています。このような仕組みは決して珍しいものではありませんが、プロモーション費用を節約する際に非常に有用な仕組みですので覚えておくと良いでしょう。

通常、SNSを使って認知度を高めるためにはインフルエンサーや芸能人の起用を検討する企業が多いですが、メルペイのケースのように多くの投稿を誘発することで十分に認知度を高める効果が期待できます。AISASモデルの循環を人為的に引き起こしたい時に覚えておくと良いでしょう。

スターバックス

様々なマーケティング戦略の活用が得意だと言われているスターバックスはAISASモデルも活用しています。RIZAPやメルペイの事例と同様に、フェーズごとに確認してみましょう。

●A:Attention(注意)
スターバックスの場合、ショッピングモールなどに店舗があるため十分な知名度を持っています。そのため、特別に認知度を高めるための工夫が必要になることはありません。そこで、スターバックスは認知度を高めるためではなく、「知っているだけではなく実際に行きたいと思わせる」ための工夫をAttention(注意)のフェーズで行っています。写真映えする商品を作ってInstagramやTwitterに投稿したり、店舗によってはカップにメッセージを書いて消費者自身のSNSに投稿したくなる工夫をすることで、注目を集めているのです。

●I:Interest(関心)
さらに、スターバックスのように常に多くの人に注目されている企業の場合は飽きさせないような工夫も必要になってきます。そこで、季節ごとに季節限定の新作フラペチーノを提供したり、コーヒーが苦手な人でもカフェを利用しやすいように紅茶やジュースといった商品を提供したりするなど、注目を集め続けて消費者に飽きられないような工夫をしています。

どんなに珍しくて先進的な商品やサービスでも、時間が経って消費者が慣れてしまうと注目度が下がってしまいかねません。それを防ぐためには新商品や新たなサービスなどで注目を集めることが必要ですが、明らかに新機軸の商品を開発するのは手間がかかってしまい現実的ではありません。そうした点でも、このスターバックスの事例は参考になるのではないでしょうか。

●S:Search(検索)
スターバックスの事例の場合、検索によって公式ホームページでアレルギー情報など消費者の知りたい情報を伝えることも非常に重要です。しかしながら、既に高い知名度がありファンが多い企業ですので、検索した時に新商品の情報が手に入りやすいような環境を作ることで、消費者に情報収集のストレスを与えないことも重要でしょう。

そのために、スターバックスはSNSを効果的に活用しています。主なターゲット層が若年層であることからInstagramやTwitterといったSNSを効果的に活用し定期的に情報を発信しています。SNSの場合、企業の情報の有無に関わらず定期的に自分の投稿のために利用している消費者が多いため、企業が意図しなくても自然と情報を発信することができるためコストもかからずメリットが大きくなると言われています。

●A:Action(行動)
高い知名度を持つスターバックスですので、当然ながら消費者がリピーターが多くなります。そのため、購入に対するハードルも基本的には存在せず新商品を発売するだけで多くの消費者を集めることができるでしょう。

しかしながら、スターバックスはそのような知名度の高い状況に甘えずに購買行動がストレスなく行える仕組みを作っています。たとえば郊外の店舗ではドライブスルーを設置している店舗を多くしたり、駅前の店舗といったビジネスパーソンの利用が多い店舗ではWi-Fiや電源の設置など店舗ごとに客層に合わせた工夫を凝らしています。そうした気遣いの有無によって集客量が異なる可能性もあるので、どんなに有名な企業であってもこうした工夫を忘れてはいけません。

●S:Share(共有)
先ほどスターバックスはInstagramやTwitterといったSNSでプロモーション活動を行っている紹介しましたが、そこを見ると公式画像のクオリティが非常に高いことに気付くでしょう。新商品ごとに商品の特性を表現し、思わず飲みたくなるような画像に仕上げています。そのため、InstagramやTwitterなど自分自身でもSNSを使っている人は、そうした公式画像のクオリティに触発されて自分でも綺麗な画像を撮りたくなりがちです。

店舗自体の雰囲気も良いため、イートイン利用時にスターバックス店内で写真を撮影し、投稿したいを考える人も多いでしょう。実際、店舗内を見てみると凝った構図で写真を撮影し、投稿しているという人も少なくはありません。スターバックスは、このような消費者の感情を読み取りShare(共有)のフェーズに特に力を入れています。そうすることにより広告費を極限まで削減することに成功しているのです。スターバックスという大企業のAISASモデルの活用事例ではありますが、予算に余裕がない中小企業やベンチャー企業、個人事業主などのお手本になる事例だといえるのではないでしょうか。

AISAS以降の購買モデルは?

AIDMAモデルに比べてAISASモデルは現代社会のインターネットやSNSの利用状況も反映している購買行動のモデルだと言われています。しかし、AISASモデルよりもさらに新しいモデルが注目を集めつつあります。どのようなモデルがAISASモデル以降に重宝されるとして注目を集めているのか、2つにモデルを確認してみましょう。

AISCEAS

AISCEAS(アイセアス、もしくはアイシーズ)モデルは2005年に提唱されたモデルです。「Attention(注意)」、「Interest(興味)」、「Search(検索)」、「Comparison(比較)」、「Examination(検討)」、「Action(購買)」、「Share(共有)」という7つのフェーズから構成され、AISASモデルをさらに細分化した購買行動のモデルだと言われています。

AISASモデルにおいては比較的簡単に購買の決断を下していた消費者ですが、AISCEASモデルにおいては消費者が実際にはもっと考え込むことが多いことが前提となっています。AttentionとInterestの認知段階、SearchとComparison、Examinationの感情段階、ActionとSearchの行動段階の三段階に分けられていて、感情段階が複雑化していることが特徴だといえるでしょう。

使い捨ての商品や比較的安価なものに関してはAISCEASモデルのように行動する消費者は少なくAISASモデルが採用されることも多いですが、家や車といった高額商品の場合はAISASモデルよりもAISCEASモデルの方が実態を掴んでいると考える人も少なくはありません。AISASモデルと併せて覚えておき、状況に応じて使い分けると良いでしょう。

RsEsPs

2019年に提唱された新しい購買行動モデルとしてはRsEsPs(レップス)モデルも知られています。RsEsPsモデルにおいては「Recognition(認識)」→「Search・Spread・Share(検索・拡散・共有)」→「Experience(体験)」→「Search・Spread・Share(検索・拡散・共有)」→「Purchase(購買)」→「Search・Spread・Share(検索・拡散・共有)」という一連の流れが定義されていて、見て分かる通り認識・体験・購買の後に全て検索・共有・拡散というフェーズがあることが特徴的です。

すなわち、RsEsPsモデルを元に消費者の購買行動を考えると、商品やサービスの存在を認知した時点でそれに対して興味がなくても調べることが癖になっていて、試供品を使った時点でも同様に詳細を調べたりSNSへの投稿を行い、さらに商品を購入したりサービスを利用したりした後でもAISASモデルと同じようにSNSへの投稿を行うと考えられています。これは消費者にとってSNSの存在感が増していることを端的に表しており、今後のマーケティングにおいては購入して顧客になってくれた消費者を継続的に顧客として囲い込むことだけではなく、認知や体験だけで終わり顧客とはならない消費者に対しても丁寧な対応が求められることを意味しています。

現在、SNSが普及したことによって以前よりも圧倒的に情報発信の難易度が下がっています。すなわち消費者が自分で持っている情報を共有するハードルが低くなり、ポジティブな情報でもネガティブな情報でも拡散させることが当然となってきています。つまり、実際に顧客となってくれた消費者だけを意識していると時代遅れの企業となり選ばれなくなってしまう可能性があるのです。

このRsEsPsモデルは提唱された時期だけを見ると2019年と非常に新しい購買行動モデルであるように見えるかもしれませんが、実際に名前をつけていなかっただけでRsEsPsモデルを採用している企業も少なくはありません。特にレッドブルなど、若年層をコアターゲットにしている企業はRsEsPsモデルの重要性を既に痛感していてRsEsPsを実践しています。AISASモデルだけではなくRsEsPsモデルも採用したい場合は、そうした企業をお手本にするのも良いのではないでしょうか。

消費者の購買行動に合わせてプロモーション活動を行おう

消費者の購買行動に関しては、年齢や予算、検討している商品やサービスの価格や使用頻度、普段の情報源などによっても大きく異なります。企業としては、AISASモデルを始めとしてAIDMAモデルやAISCEASモデル、RsEsPsモデルなどを適宜使い分けていくことが重要になってくるでしょう。

ただし、どの購買行動モデルを活用する場合であっても最近ではインターネットやSNSの重要性が増しているためインフルエンサーの起用が絶大な影響力を及ぼすケースが少なくありません。そのようにインフルエンサーの起用を検討しているのであれば、ぜひトリドリマーケティングにご相談ください。契約している数多くのインフルエンサーの中から、購買モデルや企業のブランドイメージも考慮した上で、起用方法も含めて提案させていただきます。