マーケットインとプロダクトアウトの正しい意味や使い分けと成功事例4選

どちらを選ぶべき?2020年以降本当に求められるのは「マーケットイン」or「プロダクトアウト」

高度経済成長期だった1950年頃から長らく、大量生産及び大量消費の時代が続きました。品質が高い物、または企業が優れていると感じる商品を販売すれば、大量に売れるという積極的消費時代が続いていたのです。大量に売れることから大量に作成し、それらを売りぬくため、マス広告を活用した一方的で大々的なマーケティングが主流となっていました。プロダクトアウトが推奨され、好んで用いられる時代だったと言えます。

しかし、大量生産及び大量消費時代は、2020年現代まで不変的に続いてきたわけではありません。第一次オイルショックやバブル経済の崩壊、リーマンショックなど社会情勢も加わり、消費行動及びマーケティングも大きく変化したのです。大量に作られた商品は市場に溢れかえり、「優れた物」という特徴だけでは売れなくなっていきました。企業がどれほどPR活動を行っても、消費者の購買行動を促すことが難しくなっていったのです。このような多くの変化から、マーケットインという手法が用いられるようになります。

これまでのように、企業主導・発信のやり方ではなく、市場や消費者に目を向けたマーケットインにより、確実に低リスクで行う事業が注目されるようになっていったのです。では、2020年以降のマーケティングも、マーケットインが主流となり、成果をもたらし続けるのでしょうか。実は、そうとも言い切れません。大量生産及び大量消費後の日本では、マーケットインという考え方が、多くの企業で活用されていました。しかし、プロダクトアウトという手法が消滅したわけではありません。むしろ、世間を興奮させる商品・マーケットインには、必ずと言っていい程プロダクトアウトが関連していました。つまり、2020年もプロダクトアウトの力は健在であり、大いに活用できるという事なのです。

2020年以降に通用する手法

では実際に、これらかのマーケティングでは、どちらの考え方を用いるべきなのでしょうか。これは、長らく問われてきた事柄の1つです。マーケットインとプロダクトアウトは、相反するマーケティング、手法として認識される場合が多く、どちらか一方を選択しメインで扱わなければならないといった考え方も根付いています。2020年前期に発生した新型コロナウイルスの影響により、多くの企業が苦境に立たされている中、マーケットイン・プロダクトアウトという事業方針やスタートに関わる事柄は、特にミスなく適切な手法を選択したいと考えることでしょう。

今回は、マーケットイン及びプロダクトアウトの正しい意味と、これからの社会においてどちらを活用するべきなのか、具体的なマーケティング方法と合わせて解説していきます。また、どちらか一方の手法にこだわった考え方の危険性や、新しい活用術もご紹介していきましょう。2020年以降は、これまでとは全く異なる時代です。良質な商品、大々的な広告だけでは消費者に商品を届けることはできません。どのような手法、マーケティングを取り入れていくべきか、理論的に考えていきましょう。

「マーケットイン」「プロダクトアウト」の意味及び特徴

まずはここから、マーケットインとプロダクトアウトの正しい意味について解説していきます。ツールや環境の変化に伴い、多くのマーケティングや関連する手法が誕生しました。そのため、多くなりすぎたマーケティングや、関連手法の意味を正しく理解していない場合も多く、デメリットやリスクだと言えるでしょう。自社でどのような方法を用いるにしても、マーケティングや関連手法の意味を正しく把握しておかなければなりません。ここでは、マーケットインとプロダクトアウトの意味や特徴だけではなく、類似するマーケティング手法や考え方についても、紹介していきます。類似点や相違点を理解し、あらゆる場面で活用してみましょう。

マーケットイン(market in)とは

 

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マーケットインとは、消費者のニーズや需要を満たすことを目的とした開発・生産活動のことです。1950年頃から約20年間、日本は急激な経済成長を遂げていきました。伴って大量の商品が市場に出回るようになったものの、上昇する経済や欲求に助けられ、溢れることなく大量に消費され続けます。しかし、あらゆる市場が成熟化し、供給過剰型経済に突入していきました。企業主体で開発された商品では、消費者の購買行動を促すことが難しくなっていったのです。各市場には、多くの類似商品が登場し、選択のパラドックスが頻発したのも、消費が低迷した要因だと言えるでしょう。

そこで尊重されるようになっていったのが、消費者の需要や意見です。消費者のニーズを適切にくみ取り、それらをもとに商品開発や販売を行います。消費者の需要や意見をダイレクトに反映させることにより、顧客満足度を高め、販売促進に繋げるという手法がマーケットインと呼ばれる手法です。他にも、多様化する消費者のニーズに、適切に応えられるといったメリットもあります。

マーケットインが注目され、積極的に活用されるようになった背景には、SNS媒体の定着やインターネット環境の普及が大きく関係していると言えるでしょう。SNS媒体が誕生、普及するまでは、消費者の意見をスピーディーに集めることが難しく、集められたとしても整理及び活用までに多くの時間を有していました。SNS媒体であれば、時間だけではなく場所や人数など、あらゆる事柄に囚われることなく、多くの情報を集めることができます。

プロダクトアウト(product out)とは

 

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プロダクトアウトとは、企業側もしくは開発者側が率先して、商品・サービスを作り出す手法です。消費者や各市場が明確に求めているものではなく、開発者側が「良い」「作る」と判断したものを作成・販売していきます。市場や消費者の声を聞き、取り入れていくマーケットインとは対になる言葉として、使用されています。プロダクトアウトは、企業側や開発者側の意向に従うことから、「押し付け型」マーケティングと呼ばれることも少なくありません。

しかし、顧客となり得る消費者や販売する市場の意向を、全く無視しているマーケティングではないのです。プロダクトアウトは、企業や開発者の意向だけに注目し、開発・販売されるわけではありません。企業や開発者は、消費者の中に潜んでいる欲求に注目し、それらを体現できる商品・サービスを作成しているのです。いくら好みや欲求が多様化したとはいえ、消費者の意向を全て無視した商品が、消費者や市場から求められるわけがありません。プロダクトアウトでは、既存商品では満たせない、消費者や市場の欲求を想定します。想定したのち、それらに対応する商品・サービスを開発していくのです。あくまでも、企業や開発者の想定のもと作成されることから、想定外が発生し、リスクやデメリットを被る場合もあります。

テクノロジーアウト(technology out)

 

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マーケットインやプロダクトアウトと類似する言葉として、テクノロジーアウトという用語が存在します。テクノロジーアウトは、マーケットインと比較したり、また同時に使用されることもある用語です。新しいテクノロジーの可能性を発見し、それらに基づいて開発される商品・サービスを、テクノロジーアウトと呼びます。新しいテクノロジー、またはテクノロジーの可能性からマーケティングがスタートするため、市場や消費者の明確なニーズは存在しません。そのため、プロダクトアウトに特徴が類似していると言えるでしょう。消費者や市場の潜在的欲求を理解し、新しいテクノロジー及び可能性を結び付けていきます

テクノロジーアウトのデメリットは、実際に消費者に届くまで、時間を有してしまう部分です。企業や開発者は、テクノロジーの可能性を加味して情報を発信しているため、それらがすぐに製品化できるものなのか、数年先のビジョンなのか状況により大きく異なります。先行して情報を発信し、支援や市場の反応を確認する場合もあるため、消費者の手に届くまで長期的な時間を有したり、または想像の産物として終了してしまう場合もあるのです。人間に代わりAIが多くの仕事を奪っていくという発想や、IoT家電により生活が激変すると言われても中々実感できないのは、テクノロジーアウトの特徴だと言えるでしょう。

コンセプトアウト・デマンドイン(concept out・demand in)

 

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コンセプトアウト・デマンドインとは、商品の開発段階で、顧客となる消費者を巻き込むマーケティング手法です。商品を開発する際、開発者つまり企業側の人間は、何かしらのコンセプトを提案します。もちろん、提案する相手は、消費者です。消費者にコンセプトを提示し、意見や要望を吸い上げ、反映させていきます。意見や要望を吸い上げる作業・段階を、デマンドインと呼びます。コンセプトアウト・デマンドインでは、商品やサービスを、消費者と共に作り上げることができることから、ニーズや要求をより商品に反映させることが可能です。市場の変化や異なる視点から見た要望を取り入れることができるため、販売促進も期待できます。また、開発段階から消費者が参加することにより、消費者のロイヤリティを高めることも可能です。自身が商品開発に携わったという思いから、愛用することはもちろん、外部への積極的なPR活動も期待できます。

ちなみに、コンセプトアウト・デマンドインの代表例としては、レシピ本があげられるでしょう。レシピ本を作成する際、企業はコンセプトを作成し、レシピ開発者にそれらを打診します。その後、レシピ開発者と出版社側で、コンセプト及び企画等のすり合わせを行い、最終的な商品作成となるのです。この時、デマンドインする人材に、インフルエンサーを起用することも少なくありません。消費者のニーズを理解しているため、参考にするべき良質な意見・情報を保有していること、さらに発信力や影響力を持っているためその後のマーケティングでも活用できるためです。

カスタマーイン(customer in)

 

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カスタマーインもまたマーケットインと同じく、消費者の意見や欲求を満たすことに注力した考え方、マーケティング手法を意味しています。マーケットインと異なる部分は、注目する場所の規模です。マーケットインは、消費者1人1人のニーズに応えるというよりは、各市場が求めている事柄を把握し、それらを開発・生産に反映させていきます。

一方カスタマーインは、市場全体ではなく、商品を手に取ることが考えられる消費者1人1人に注目する手法です。より小さな部分に注目し、ニーズに応えていくマーケティングだと言えるでしょう。商品の一部分を、顧客の意向で変化させるイージーオーダーや、カスタマイズ商品が該当します。これまで、スーツやスニーカーなど、アパレル関連商品で頻繁に見られましたが、近年では車の内装や外装、ホテルのアメニティや寝具など、多くの市場で活用されるようになりました。マーケットイン以上に消費者に寄り添ったマーケティングであることから、消費不況の脱出や販売促進効果が期待できる一方、在庫管理や販売機会の見極め及び見逃しによるデメリットも指摘されています。より細かいニーズに応えていこうとした場合、消費者1人1人に合わせた商品の開発が必要となりますし、それらは膨大な数・種類となってしまうのです。消費者のニーズに応えることが販売促進に繋がり、ゆくゆくは企業の大きなメリットになるとは、必ずしも断言できないでしょう。

カスタマーインと同等の意味を持つ言葉として、コンシューマーイン(consumer in)という言葉が使用されることもあります。コンシューマーインもまた、消費者それぞれに合わせた商品、サービスの提供を目的としている手法です。カスタマーインと大きく異なる部分はなく、マーケティングにおいて頻繁に使用される用語でもありません。類似するコンシューマーインサイトという言葉の方が、積極的に使用されています。

マーケットインのメリット・デメリット

ここからは、マーケットインのメリット及びデメリットについて、解説していきます。近年、マーケットインは企業や市場から好意的に受け止められ、以前よりも積極的に用いられるようになりました。しかしそれは、近年になりメリットが倍増したというものではありませんし、デメリットが一切発生しないというわけでもありません。SNS媒体やインターネットの発展など、追い風となる新しい要素は見られるものの、基本的に大きなメリット・デメリットの変化はないのです。つまり、これから先も、マーケットインに関するメリット及びデメリットに大きな変化がないと予想できます。ここで、マーケットインのメリット及びデメリットを理解しておくことにより、今後あらゆる場面で活用することができるでしょう。

【メリット】ローリスク

マーケットインのメリットは、ローリスクで実施できる部分です。マーケットインでは、事前に市場の要求や、消費者の需要を確認します。調査・確認したのち、作成する必要があるものだけを作成し、販売へ向けて動き出すのです。そのため、作り過ぎによる、過剰在庫のリスクを減らすことができます。在庫管理に関するコストや、消費を促すための新たなマーケティングも必要としないため、ローリスク低コストで実施することが可能なのです。

ローリスク、低コストで実施できるため、大小問わず多くの企業が実施しやすいという部分もメリットだと言えるでしょう。消費者の消費行動及び思考が多様化したこともあり、市場の分散が発生し、合わせて多くの小規模な企業が次々と誕生しました。現代において、どのような企業であっても、規模に関係なく実施できるマーケティングは、それだけでメリットだと評価できるのです。

また、開発する前に実施する調査、確認作業も非常に容易になりコストダウンに繋がっています。普及率約80%のSNS媒体を活用すれば、あらゆる情報を一瞬で集めることが可能です。SNS媒体は、無料のサービスも多いため、収集事態に大きなコストがかかりません。さらに、集めた情報を数値化したり、分析し落とし込むことも容易になったため、これまで以上にマーケットインが実施しやすい環境となりました。

【メリット】計画が立てやすい

マーケットインは、新しい市場を開拓する手法ではありません。これまでに販売された商品やサービス、マーケティング手法を参考に、ある程度の需要が見込める商品を作成、提供していくものです。そのため、自社でマーケットインを実施する前に、既に多くの情報や実績が存在していることも珍しくありません。新しい市場を開拓したり、効果的な手法を模索しなければならないマーケティングとは違い、あらゆる計画を立てやすいのが、マーケットインのメリットです。計画とは、開発から販売までの流れだけではなく、KPIやKGIなど、各所に設定する目標も含まれます。具体的な数値や行動指標など、参考にするべき情報が既に揃っていること、ノウハウが整っていることなどもメリットだと言えるでしょう。

つまり、全く異なる事業を展開していた企業であっても、容易に新規参入することが可能になるのです。計画が立てやすく、ノウハウや手法が整っていることもあり、大きなミスを犯す恐れもありません。過去の実績から、精度の高いリスクマネジメントを行うこともできるため、どのような企業でも取り組みやすいのがメリットです。

【デメリット】企業イメージとの乖離

マーケットインは、消費者や市場のニーズを読み取り、それらを開発及び販売に繋げていきます。開発者がこのようなものを「作りたい」という欲求や、企業の強みとして持っている技術を駆使した商品・サービスを、必ずしも市場に提供できるわけではありません。そのため、市場や消費者に振り回されることが多く、開発した商品・サービスが企業イメージと大きく乖離する恐れもあるのです。

企業イメージは、簡単に作られるものではありません。方針や実績、消費者との関係性を続けることにより、徐々に形成されていくものです。長い時間をかけて作られた企業イメージは、消費者に信頼感を与えたり、愛着を感じさせます。それらが、購買行動を促したり、ロイヤリティの高い顧客育成にも繋がるのです。マーケットインによって導き出された商品・サービスの開発により、積み上げてきた企業イメージを壊してしまったり、既存顧客を混乱させる恐れもあります。

マーケットインを実行する際は、消費者や市場に振り回されることなく、取り入れるべき部分と貫く部分を適切に判断していきましょう。新規顧客の獲得、市場のニーズを満たすだけではなく、既存顧客との関係性や社会に与える影響についても、把握しておく必要があるのです。

【デメリット】差別化

マーケットインは、市場にある情報を読み取り、ある程度のニーズを有している事柄を開発・販売していく手法です。そのため、類似商品が、既に数多く出回っていることも珍しくありません。類似商品が既に数多く出回っていること、それらとの差別化を作り出すことが容易ではないのが、マーケットインのデメリットだと言えます。既存商品との差別化のため、個性や異なる部分を過度に強調してしまうと、市場のニーズからかけ離れてしまう恐れがあるのです。

差別化が難しいからといって、他社商品と類似したものを販売しても、大きな消費は期待できないでしょう。人は、選択に迷ったとき、より失敗リスクの少ない安心感が持てる商品を選択します。例えば、大手企業が提供している商品や、どこかで聞いたことなる商品などです。このような状況になった場合、ローリスクでどのような企業も参入しやすいという、マーケットインのメリットを活かすことができません。既存商品との差別化を図るため、商品・サービスを大きく個性的に変化させるのではなく、提供方法を工夫してみましょう。

選択に困った消費者が、自社商品を手に取るように、インフルエンサーを活用するのです。消費者は、多すぎる商品の選択にストレスを感じます。そして、選択権を、信頼するインフルエンサーに預けてしまうのです。つまり、ターゲット層に影響力を持つインフルエンサーを起用することにより、提供する商品やサービスに大きな特徴がなかったとしても、利用してもらえる可能性を高めることができるのです。

プロダクトアウトのメリット・デメリット

続いてここからは、プロダクトアウトのメリット及びデメリットについて、解説していきます。近年、プロダクトアウトという手法や考え方は、「押し付け」「一方的」などとネガティブに捉えられることも少なくありません。プロダクトアウトよりも、マーケットインの方が、現代や近年の消費者心理に適しているといった評価もあります。しかし、プロダクトアウトには、デメリットばかりが存在しているわけではありません。マーケットインと同じように、メリットもデメリットも有しているのです。また、ターゲットとする層や取り扱う商品によっては、プロダクトアウトの方が大いに適している場合もあります。それらを正しく判断するためにも、プロダクトアウトのメリット及びデメリットについて、理解していきましょう。

【メリット】個性

プロダクトアウトは、企業や開発者側が主体となり、消費者に提供する商品やサービスを開発します。マーケットインと同じく市場調査は行うものの、作成するであろう商品や取り入れたいアイディアを念頭に、情報収集を行うのです。商品やアイディアが先行する手法のため、企業としての特徴や個性を作り出しやすく、他社との差別化が容易となります。プロダクトアウトという手法は、他社と異なる点、企業としての強みを活かすことができるため、ロイヤリティの高い顧客育成から、販売促進効果も大いに期待できるのです。近年の「消費行動が消極的」といった特徴や、「顧客の多様化」をも刺激できる要素だと言えるでしょう。

個性的で企業主体のマーケティングであることから、「一方的」「押し付け」などネガティブに評価されたり、多様化した現代に「適さない」といった評価が下されることもあります。しかしプロダクトアウトという手法は、市場が全く求めていない商品やサービスを、強制的に提供するといったマーケティングではありません。開発予定の商品やサービスの構想を元に、消費者や市場の声を収集し、結果に応じて軌道修正等も行うのです。そのため、一部コミュニティで囁かれているような、一方的なマーケティングとは、異なるものだと言えるでしょう。顧客の潜在意識を読み取り、それらを体現できるのがプロダクトアウトという手法なのです。

【メリット】ハイリターン

プロダクトアウトでは、市場を熟知した企業または開発者があらゆるアイディアの中から、より優れたものを体現しようと試みます。それらは時に、消費者や市場の期待を大きく超えることもあり、新しい時代や文化を作り出すことも珍しくないのです。このように、大きなリターンを期待できるという部分が、プロダクトアウトのメリットだと言えるでしょう。マーケットインや、その他のマーケティングのように、類似商品を追随する形で商品・サービスを作成した場合、大きなリターンは期待できません。仮に、流行を生み出したとしても、それらは自社企業・商品だけのものではなく、市場全体が活性化するというローリターンにとどまります。

市場全体が活性化することは、もちろん非常に望ましい状態です。しかし、市場の活性化及び拡大により、新規参入が増えることも予想できるため、利益やメリットがさらに分散してしまう恐れも十分に考えられます。プロダクトアウトであれば、新しい市場を開拓したり、新しいニーズを作り出すことができるため、大きなリターンが期待できるのです。

【メリット】ブルー・オーシャン

ブルー・オーシャンとは、マーケティングにおいて、競合相手のいない未開発・未発達の市場を意味しています。競い合う相手が存在しないことから、多くの可能性やメリットを得ることが可能な場所です。プロダクトアウトを用いることにより、ブルー・オーシャンを発見する可能性が高まり、企業を躍進させることもできるでしょう。競合他社が存在しないことから、「慢心」「停滞」といったリスクを懸念する声も聞かれます。しかし、多くの情報が常に行き来する現代において、競合他社が一切存在しない場所など、ほとんどありません。ブルー・オーシャンにも、そう時間はかからず、新規参入企業が次々と現れるでしょう。

プロダクトアウトによりブルー・オーシャンを見つけるメリットは、第一人者・企業として消費者へインパクトを与えられる部分です。第一人者であることから、価格設定やマーケティング手法、ネーミングなど市場のあらゆる部分を自由にコントロールすることもできます。また、新規参入企業が続々と参戦してきたとしても、彼らはあくまでも追随する側であり、初代となる開拓者とは一線を画しているのです。「初代」「開拓者」のように、市場に大きく貢献し影響力を持つ企業は、消費者からも信頼されますし、購買行動にも影響を与えることができます。ブルー・オーシャンの発見には、多くの可能性があり、それらを見つける可能性を高められるのがプロダクトアウトという手法なのです。

【デメリット】ハイリスク

プロダクトアウトのデメリットは、ハイリスクという部分です。新しい事柄、市場やニーズに注目して開発を行うため、大きな成功を収めるとは限らないのです。ある程度の需要と供給が見込める市場を選択し、実施していくマーケットインとは違い、他社との相違点や、これまでの文化と異なる着眼点が必要とされるプロダクトアウトでは、世間や市場に受け入れられないこともあるのです。故スティーブ・ジョブズが発表した数々の商品が、それぞれの時代で受け入れられなかったことからもわかるように、画期的過ぎる商品やサービスを消費者が受け入れるまでには、長い時間を有することも珍しくありません。

消費者が受け入れられなければ、当然購買行動は発生しませんし、企業はコスト等を回収することも難しくなってしまいます。プロダクトアウトは、ハイリターンが望めると同時に、ハイリスクも覚悟しておかなければならない手法です。未発達の市場であることから、情報も少なく、想定外の事象も数多く発生するでしょう。それらを乗り切るアイディアと、運営を続ける企業としての体力が必要とされます。

【デメリット】周知・拡散

プロダクトアウトでは、未開の市場を開拓したり、これまで注目される機会の少なかった商品・サービス等にあえて注目することもあります。これまで開発されてこなかった市場には、メディアや消費者の注目度も、知名度もありません。そのためプロダクトアウトでは、開発した商品・サービスを周知させることが難しかったり、それらを積極的に拡散してもらうことが困難となります。しかし、プロダクトアウトのデメリットである周知・拡散は、インフルエンサーの起用により、解消することが可能です。インフルエンサーは、それぞれに既存ファンを保有していますし、得意媒体やコンテンツも有しています。そのため、適切な拡散方法が実施できること、また既存ファンを中心に周知活動にも力を発揮することができるのです。

マーケットイン・プロダクトアウトの成功事例

最後に、マーケットインとプロダクトアウトの成功事例を、いくつかご紹介していきましょう。それぞれの成功事例について、成功に至ったポイントや他社との違いを、詳しく解説していきます。これから実施するマーケティング、手法の選択に、役立ててみましょう。

【マーケットイン】マクドナルド

 

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ファーストフード店マクドナルドは、日本だけではなく世界各国に展開する大手外食チェーン店です。展開される国や地域によって、建物の外装や内装からメニューまで異なる展開を見せています。本店を置くアメリカでは、マクドナルドは手軽に楽しめるファーストフード店という位置づけです。しかし、出店先の顧客のニーズ、文化や地域の需要に合わせ、柔軟にあらゆる事柄を変更しています。もし、本店のイメージを崩さないスタンスを貫いていた場合、国や地域によっては受け入れられない店舗もあったでしょう。「食事」という事柄に対するそれぞれのニーズをくみ取り、それらを適切に取り入れたことにより、現在は総店舗数3万店を突破しています。

【マーケットイン】無印良品

 

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日本を代表するアパレルブランドメーカー無印良品も、マーケットインにより、大きな成功を収めた企業の1つです。「商社より情報を手に入れる」という目標を徹底し、出店先の情報収集に余念のない企業だと言えます。現地のライフスタイルやニーズを集め、自社商品を改善していくというスタイルを貫いているのです。そのため、マクドナルド同様、出店する国や地域によって、各店舗異なる特徴を持っています。知名度や認知度もなく、異なる地域への出店を考えた時、プロダクトアウトのような企業の個性を前面に押し出す手法は、よりリスクが高くなってしまいます。顧客を事前に絞り込んでしまうため、大きなリスクを伴うのです。世界各国で活躍する企業は、各地域やそこで暮らす人々に注目し、惜しげもなく自社商品に反映させていきます。各市場に合わせることにより、知名度や認知度を向上させることができ、その後初めて企業の個性を出せる状態になるのです。

【プロダクトアウト】YouTuber


発信者が「良い」と思ったコンテンツを作成・発信している、プロダクトアウトの代表作と言えるのが、YouTuberです。発信者はそれぞれ、自身が面白いと感じたもの、伝えたいと思っている事柄を、独自の方法を用いて発信しています。多くの個性的な配信が見られるため、現代ではマスメディアの代表である地上波テレビよりも利用率が高いというデータもあるほどです。YouTuberは、個性的なコンテンツだけではなく、配信する内容のクオリティの高さ、訴求力の高さなど、あらゆる部分が評価され、近年では企業のマーケティングに起用されることも珍しくありません。しかし、新規参入者が増えすぎたため、コンテンツの個性が失われつつあるのが、懸念点です。

【プロダクトアウト】LINE

 

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メールという既に圧倒的シェア率を誇っていたツールに、敢て挑み、見事日本ナンバーワンシェア率を獲得したのが、LINEです。LINEが登場するまで、消費者や市場は、メールに変わるツールを求めていませんでした。しかし、1通1通に発生する料金や、使用できるイラスト等の制限に、不満を持っていたことも事実です。このような潜在的欲求にいち早く注目し、新しいツールとしてLINEが誕生し、瞬く間に広がっていきます。無料通話、自由に使用できるスタンプや絵文字、表示方法など、これまでの連絡ツールとはいずれも大きく異なる特徴を有しているため、大きな反響と共に普及していきました。普及した後も、停滞することなく、SNS機能をアピールしたり、簡単に連絡先を交換できる機能を追加するなど、利用者を飽きさせない工夫が続いています。

【プロダクトアウト】ペヤング焼きそばシリーズ

 

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簡単に、美味しい焼きそばが食べたいという顧客のニーズを満たすペヤングやきそば。1975年に誕生してから、45年以上多くの消費者に愛され続けるロングセラー商品です。ペヤングは、消費者のニーズを十分に満たしているにもかかわらず、あえて顧客のニーズが存在しなかった、変わり種商品を販売していることでも知られています。アップルパイテイスト焼きそばや、すっぱからMAXやきそばなど、個性的な新商品を次々と販売しているのです。変わり種商品は、批判的に受け止められることもありますし、既存顧客の離脱も懸念されます。しかし、YouTuberなどがコンテンツとして取り上げることにより、宣伝効果はもちろん、販売促進にも繋がっているのです。また、新商品を試したのち、やはり王道商品が美味しいという評価に落ち着くこともあり、ソース焼きそばそのもののPRにも繋がるプロダクトアウト手法だと言えます。プロダクトアウトは、新しい市場を開拓する必要があるため、拡散力や周知にリスクを抱えていました。しかし、ペヤングのように、YouTuberなどのインフルエンサーを巻き込むことによって、デメリットも大きなメリットに変えることができるのです。

「マーケットイン」「プロダクトアウト」のような起点以上にどのようにして消費者に届けるか終点も重要となる

マーケットイン及びプロダクトアウトは、それぞれにメリットやデメリットが存在し、いずれも正しい使い方により、企業にプラスをもたらすことができます。前項でも解説したように、インフルエンサーを起用することにより、多くのデメリットを排除することが可能です。企業としてどのような事業展開を望むのか明確にし、マーケットインを使用するのか、プロダクトアウトを活用するのか選択してみましょう。

どちらを選択したとしても、デメリットを排除すること、正しいリスクマネジメントを行うことにより、成功する可能性を高めることができます。優れたインフルエンサーを起用するのも、正しいリスクマネジメントの1つです。インフルエンサーを起用する際は、マッチングプラットフォームである「トリドリマーケティング」を利用してみましょう。10,000人以上在籍するインフルエンサーの中から、最も適した人材を選択することが可能です。