マーケティングとブランドマーケティングの違いと成功事例7選

ブランドマーケティングを成功させて選ばれる企業になろう

ブランドマーケティングに成功することができると、消費者から優先的に選ばれる企業になれるだけではなく、潜在的な顧客を一気に増やすことも可能になります。また、ブランドマーケティングを行うことで消費者のインサイトを満たすこともできるため、競合他社よりも圧倒的に優位な立場に立てることも少なくはありません。現在、市場には様々な企業が溢れているため、それらの競合他社との差別化のためには企業独自の「ブランド」が必要になることは間違いありません。企業数が多く消費者の選択肢が多い今だからこそ、ブランドマーケティングの重要性を再確認し、確固たるブランドの確率を目指してみるのも良いのではないでしょうか。

ブランドマーケティングとは

ブランドマーケティングとは、1994年にアメリカの経済学者であるアーカー教授が出版した本の中で提唱されたマーケティング概念のことです。マーケティング概念としては1990年代に提唱されたということで、比較的新しいものにあたるでしょう。すなわち、それだけ違和感なく現代のマーケティング戦略として応用することができるため、しっかり理解すれば非常に大きな効果を発揮することができるマーケティング戦略だと言われています。

そんなブランドマーケティングですが、定義としては「ブランドエクイティを創造すること」と言われています。しかし、この聞き慣れない「エクイティ」という言葉を調べても、基本的には不動産用語として使われる株主資本という意味が出てきてしまいます。そこで、もう少し詳しくブランドマーケティングについて解説してみましょう。

ブランドエクイティとは

ブランドマーケティングについて理解するためには、やはり「ブランドエクイティを創造すること」という定義の「ブランドエクイティ」を理解しなければなりません。エクイティは基本的には不動産用語として使われる言葉ですが、マーケティング理論の中では「資産価値」という意味で使われることの多い単語です。すなわち「ブランドエクイティ」という言葉は、それ自体で「ブランドの持つ資産価値」のことを意味します。

ブランドの持つ資産価値について例を挙げて説明すると、ブランドバッグを想像した時にバッグ自体に目に見える価値があるわけではないことは分かるでしょう。しかしながら、「COACHのバッグ」などブランド名がつくだけで非常に価値の高いバッグになります。もちろん、ハイブランドはブランド名だけではなく商品自体もクオリティが高いものが多いからこそハイブランドと呼ばれるに至っていますが、同じクオリティのバッグがもし存在していた場合、多くの人はノーブランドのバッグよりもブランドのバッグの方がクオリティが高いと判断するのではないでしょうか。

つまり、ブランドの名前やロゴマークが持っている知名度や信頼度がブランドの持つ資産価値、すなわちブランドエクイティとなるのです。これは「ブランド力」と言い換えることもでき、こうしたブランドを持つ商品が多ければ多いほど企業としての知名度も比例して上がることが多いと言われています。

マーケティングとブランドマーケティングの違い

ブランドマーケティングを分かりやすく表現すると「商品の価値を高めて消費者から選ばれること」となります。この「商品の価値」には商品としてのクオリティはもちろん、商品自体の知名度や商品を持った際の満足感などが含まれるため、ブランドエクイティの高い商品を持てば持つほど消費者の満足度は高まるでしょう。

しかしこのようにブランドマーケティングを理解すると、単なるマーケティングとの違いに悩んでしまう人もいるのではないでしょうか。ブランドマーケティングもマーケティングも、最終的な目標は「消費者から選ばれること」です。この点において、確かに単なるマーケティングとブランドマーケティングは同じものだと思えるかもしれません。

しかしながら、実際はマーケティングとブランドマーケティングは大きくな違いを持っています。ではマーケティングとブランドマーケティングは厳密にはどのような違いがあるのか、六つの要素から両者の違いを解説していきます。

視点

マーケティングとブランドマーケティングは、そもそも論ずる際の話者の立ち位置、すなわち視点が異なります。マーケティングの視点が「商品をどうやって売っていくか」という企業中心の考え方にあるのに対し、ブランドマーケティングは「消費者が理想的なライフスタイルを実現するためにどのようなものを用意するべきか」という消費者を中心とした視点となっています。

単に「消費者から選んでもらえるような良いものを作り、知名度を高めてロイヤリティをつけることによって満足感を高める」という考え方では、マーケティングの域を出ることはできません。ブランドマーケティングは単に消費者の満足度を高めるものを売るのではなく、消費者が持つ感情や背景、商品に対する思い入れを分析することによって成立するのです。「なぜ消費者がこれを求めるのか」、「消費者がこれを手に入れることでどのようなライフスタイルを目指しているのか」という消費者の生活に根差した視点が必要となってくるでしょう。

選択方法

マーケティングとブランドマーケティングの違いは、消費者の選択方法にもあらわれます。マーケティング論において、基本的には競合他社の販売する商品より優れていれば消費者は絶対に自社の商品を購入するといわれています。すなわち、企業は消費者の需要よりも「ある分野の商品において、競合他社と差別化して消費者の欲を満たす」ことに着目するだけで、商品を売ることができるようになります。

しかしながら、ブランドマーケティングにおける消費者の選択方法は、そうした商品の優位性だけに留まりません。ブランドマーケティングにおいて、消費者は感情的な好き嫌いも考慮しながら商品を取捨選択します。「A社の商品も良いけれど、B社の方が店舗が綺麗だからB社で買おう」というような選択を行う消費者もいるでしょう。もっといえば「商品としてはA社の方が使いやすいし優れているけど、この前に不快な選択をされたから商品的には不満があるけどB社で購入しよう」のように、商品優位を獲得しても選ばれない企業になることもあります。

これをマーケティング論では「消費者の感情的な好き嫌いも考慮した選択」といいますが、実生活に基づいてみれば納得感の強い選択方法であることは明らかです。実際、「家からも近くて牛乳が100円で買えるものの、不衛生で暗く接客も不快な思いをすることが多いスーパーA」と、「家からは離れているものの通えないほどではなく、牛乳も130円はするが衛生的で店内も明るく店員も親しみやすいスーパーB」であれば、後者で買い物をしたいと感じる人は多いでしょう。クオリティの差や価格の差によっては不快な思いを我慢してもスーパーAで購入せざるを得ない場合もありますが、我慢できる程度の差であれば感情的な満足感を優先させる人は決して少なくありません。この商品価値以外の価値が大きく消費者の選択方法に影響するのがブランドマーケティングなのです。

市場の認識

市場における認識も、単なるマーケティングとブランドマーケティングでは大きく異なります。たとえば、マーケティング論における市場の認識は「どこかにあるニーズを競合他社よりも満たすことができれば、市場シェアを上げることができる」という認識が一般的です。すなわち、市場には多くの消費者がいて、既に数多くの商品やサービスが市場で販売されているにも関わらず不満を抱いている人が多く、そうした人をいち早く見つけて不満を抱く消費者を満足させることこそが企業が生き残る方法であると考えるのがマーケティングにおける市場の認識です。この認識の中では「今までに類似しているものすら存在していない」と全く新しい商品やサービスを求めるニーズもあれば、「現在は〇〇社の商品を使っているが、本当はもっと××だったら良いのに」と既存の商品では100%満たされていないニーズもあります。いずれにせよ、そうしたニーズを満たすことこそがシェアを上げる方法だと考えるのが既存のマーケティング論です。

しかしながら、ブランドマーケティングにおける市場の認識では根本的にニーズに関する考え方自体が異なります。ブランドマーケティングにおいては、「市場の中に既に満たされていないニーズはない」と考えられます。既に多くの商品やサービスが市場に溢れているため、消費者は現在の市場に満足しているため、その消費者から求められるためには消費者自身もまだ気付いていないニーズを見つけて企業側から能動的に提示するか、あるいは既存の商品やサービスにとらわれない全く新しい機軸のものを生み出すことによってニーズ自体を創っていくことがシェアを上げる方法だと考えるのです。この、消費者自身すら気付いていない自らのニーズのことをマーケティング論では「インサイト」と呼びます。新しく販売された商品やサービスを使って初めて「そういえば、もしかしたら今まで不満に思ったことはなかったけど、こういうものを求めていたのかもしれない」と気付くものがインサイトです。「ないと思うけど、もっと〇〇なものがあれば良いのに」というニーズよりもさらに消費者の心理を深掘りすることでしか消費者インサイトを見つけ出すことはできません。

消費者の心理をしっかり認識しなければならないためインサイトを発掘することは困難ですが、ブランドマーケティングにおいてはそのインサイトの発掘を重要視します。そういった点で、ブランドマーケティングはインサイトマーケティングと近いものがあると言っても良いかもしれません。

プロモーション方法

企業のプロモーション方法といえば、従来通りのテレビや雑誌、電車のつり革広告を使う方法か、あるいは最近にわかに注目されているSNSへの広告出稿やインフルエンサーの起用が一般的な方法です。従来通りのマーケティング論でも、ブランドマーケティングにおいてもプロモーションに用いる手段が大きく変わることはありません。しかしながら、同じプロモーション手段を用いてもプロモーションの方法が大きく異なることは覚えておいた方が良いでしょう。

たとえば、マーケティング論では消費者に商品名を覚えてもらうことが最優先です。そのため商品やサービスの機能や中身よりもまずは名前をCMで覚えてもらい、その後消費者が実際に店頭で商品を見かけた時に「そういえば、この商品を聞いたことがあるから使い方を試してみて良かったら使ってみよう」という心理状態にさせるプロモーション方法が一般的です。極論を言えば、マーケティング論では商品名さえ覚えてもらえば良いだけですのでテレビのCMで15秒間商品名を連呼しているだけのCMでも成立することになります。

一方、ブランドマーケティングの場合は消費者の感情面を一番に重視します。そのため商品名を覚えてもらうことはそれほど重要なことではなく、消費者が感情面も含めた判断で買いたいと思わせるように商品を見せるようなCMを発表することが重要です。マーケティング論のように極端な例を出すならば、ブランドマーケティングの考えに則ってテレビCMを作るのであれば、15秒間商品をイメージするBGMと一緒に商品の映像を流し続けるだけでもCMは成立します。その商品の映像を見て消費者に「自分もあれを使えば今よりも素敵な生活ができそうだから店頭で見てみよう」と思わせることができれば成功になるわけですので、商品名を連呼しなくても後から消費者自身が調べられるような仕組みさえ作っておけば、自動的に消費者がブランドの出す商品にたどり着いてくれて売上が生まれることになるのです。

消費者との接点

プロモーション方法が大きく異なるマーケティング論とブランドマーケティング論ですので、当然ながらそこから派生する消費者との接点も大きく異なります。商品名を覚えてもらうことこそが重要なマーケティング論においては、店頭で商品を売る際にも商品のインパクトを重視する陳列方法を選択します。すなわち店頭に設置する数を増やし商品の露出を増やすことで、消費者に選んでもらえるようにするのです。実際、今までスーパーやコンビニに行った時に一つの商品が大量に並んでいるのを見て、ついつい購入したことがあるという経験を持つ人もいるでしょう。それこそがマーケティング論における消費者との接点なのです。

しかし、ブランドマーケティングにおいては消費者との接点を増やすことだけが商品の売上を伸ばす仕組みではありません。ブランドマーケティングはブランド全体で消費者の感情面に訴えかけることが大切ですので、広告や露出を増やすだけではありません。たとえば独自の店舗を持っているのであれば販売スタッフの質を高めることも忘れませんし、問い合わせやクレームを受けることが多いコールセンターのスタッフもしっかり教育します。そうした商品以外も含めた全てのブランドコンテンツをブラッシュアップすることで「わざわざ店頭に足を運んで良かった」や「疑問点や嫌な部分があってコールセンターに電話したけどしっかり対応してもらえたから、次もこの会社の商品を買おう」というようなポジティブな感情を抱かせることがブランドマーケティングの目的となるのです。

目指すゴール

市場の認識や視点の置き方といった商品販売以前の考え方から、プロモーション方法や消費者との接点など商品やサービスの売り方まで大きく異なるのがマーケティング論とブランドマーケティングです。そのような違いを持つ両者ですので、当然ながら目指すゴールも異なります。

マーケティングにおいては、市場において競合他社よりも明らかに優位な位置に立ち、最安値の商品を売ることによって消費者に選ばれる商品となることが最終的なゴールです。消費者が飽きるまでに大量に商品を売り出し、消費者が飽きる頃にはまた新しい商品を大量に売り出すことによって短期的な売上を大量に生み出し利潤を得るのが企業の生存戦略となります。

しかし、ブランドマーケティングでは正反対の考え方をします。短期的にはそれほど売上額が芳しくなくても、消費者にとって最安値ではなく最愛のブランドになることを目指します。消費者から「競合他社よりもこの会社が絶対に好き」と思ってもらえるまでには長い時間がかかりますが、そのような感情移入をされることによって商品の入れ替えを頻繁に行わなくても長期的に売上を安定させることができます。新陳代謝を活発に行わなくてもしっかり安定した利潤を得ていくことがブランドマーケティング論における最終的なゴールとなるのです。

ブランドマーケティングを成功させるための必須条件

マーケティング論とブランドマーケティングの手法は似ているように思えても異なる部分が多いため、今までマーケティング論に基づいて戦略を立てていた人にとっては未知の領域に思える部分も多いのではないでしょうか。そこで、ここではブランドマーケティングを成功させるために知っておきたい三つの必須条件を紹介していきます。

独自の強い役割を持つこと

ブランドマーケティングでは、「絶対にこのブランドでなければ自分の理想与する生活が達成できない」という感情を消費者に持たせることが非常に大切です。そのため、他の店とは違う独自の強い役割を持つことがブランドマーケティングを成功させるためには重要になってきます。

たとえば、「ワンピース」がほしい女性が一人いるとしましょう。この女性に対して「他の店でもワンピースは売っているけれど、絶対にあの店で買いたい」と思わせるのがブランドマーケティングです。「他の店の試着を試したらもっと着心地の良いワンピースがあるかもしれないけれど、いつものお店で買った方が店員さんとも親しいし着回しの相談ものってもらえるし、今後の服を買う時にも相談しやすいからあの店で買いたい」と思わせることが成功する条件なのです。現在、多くの商品やサービスが溢れている中で「あの企業でしか買えない」というものを生み出すことは容易ではありません。そのため「他の企業でも買えるけど、あの企業で買いたい」と思わせるようにしていく必要があるのです。

多くの人に認知されること

ブランドマーケティングの「感情移入されて選ばれる企業になる」や「絶対的な役割を持つ」というコンセプトを見ると、熱狂的な顧客を数人作れば成功すると思ってしまいがちです。しかしながら、冷静に考えてみると熱狂的な顧客が数人いるだけでは企業を存続させることは不可能であることに気付くでしょう。どんなに単価が高く消費してくれる顧客を抱えていても、少ししか固定客がいない企業はいずれ衰退してしまいます。

熱狂的な顧客を獲得することはもちろん非常に重要ですが、その後も新規の顧客を獲得し続けるために工夫する必要があります。これがマーケティング論に基づく戦略であれば、固定客の他に衝動的に購入してくれる顧客を確保しようと、短期的なセールや集中的なプロモーション活動を重視するでしょう。しかしながら、ブランドマーケティングではそうした衝動的な売上は重視しません。セールやクーポンの配布によっていわゆるカンフル剤を打つようなプロモーション活動は行いません。ブランドマーケティングにおけるプロモーション活動は、短期的な顧客を獲得して売上を補填することを意味するのではなく、今までの顧客と同レベルの熱狂的な顧客を獲得することを意味するのです。

指名され続けること

絶対的な独自の強い役割を持つことができれば、ブランドマーケティングは成功することとなります。さらに認知度を高めて感情移入してくれる顧客を増やせば、売上は安定するように思えるでしょう。しかしながら、それで安心してはいけません。どんなに熱狂的な顧客であっても、一生その企業で購入すると契約しているわけではないので、他の企業のプロモーション活動によって失ってしまう恐れがあります。ブランドマーケティングで取り込んだ顧客は、同様に競合他社のブランドマーケティングによってさらに他の企業に感情移入してしまうリスクが非常に高いのです。

そのため、一度獲得した顧客に対しては他社がプロモーション活動を仕掛けて来ても揺るがないほどにエンゲージメントを高める必要があります。「他の企業でもっと安く売ってくれると言ってるけど、長年の付き合いだし絶対にここで購入し続けたい」と思われるような企業になって始めてブランドマーケティングが成功したと認識されるのです。会員限定の招待制パーティや会員のみ優先的に新商品を購入できる特典など、常に既存の顧客に対して気配りを忘れないプロモーション活動が必要になるでしょう。

ブランドマーケティングの実際の事例7選

ブランドマーケティングの肝は「消費者に感情移入される」ことですが、消費者からの感情移入というと少しイメージが湧きづらいという人も多いのではないでしょうか。そこで、ここでは実際にブランドマーケティングを成功させている企業の事例を7選紹介していきます。それぞれどのようなブランド戦略を行っているのかチェックして参考にしてください。

ニベア

 

この投稿をInstagramで見る

 

NIVEA(@nivea)がシェアした投稿


青い缶が印象的なニベアは、乾燥が厳しくなる冬の季節に重宝するハンドクリームやボディクリームなどスキンケア商品を売り出しているブランドです。普段はハンドクリームを使わないという人でも見たことはあるという人も多いでしょう。そんなニベアの創出するブランドイメージは「信頼」や「愛情」です。ニベアは「商品を使うことによって、子どもの頃に手荒れやしもやけから母親に守られていた感覚を想起させる」ことをブランドの目標としています。

そのため華やかな見た目や使っていて満足感を得られる特別な香料よりも、シンプルな見た目と使い心地にこだわって商品を展開しています。ニベア缶を象徴するミッドナイトブルーは昔から変わらないニベアの特徴の一つで、そうした他のコスメ用品とは一線を画する見た目によってブランドビジュアルの構築に成功しているのです。コスメ用品というと持っているだけで気分が明るくなるような華やかな見た目のものが多いですが、ニベアは敢えてシンプルな見た目を貫くことで「昔から変わらない」という安心感を与えています。また、シンプルな見た目だからこそ多数の競合商品がある中でも探しやすく、普段はスキンケアなどをせずに冬の季節にだけ購入するという人でも手に取りやすい商品として確立しているのです。

レッドブル


「冒険者を称え、翼をさずける」という栄養ドリンクらしからぬブランドアイデンティティを持つレッドブルは、市場におけるターゲティングやポジショニングを最重要視することによってブランドマーケティングに成功した事例です。

レッドブル以前の栄養ドリンクのCMとしては「タウリン1000mg配合」や「カフェインがないので夜でも飲める」や「翌朝に疲れを残さない」など商品の特徴を紹介するような王道のCMが多く、映像の内容も疲れ切ったサラリーマンが栄養ドリンクを飲むことによって元気になる様子を描いたものが主流でした。こういったCMは効能を端的に表すことに成功している一方で「疲れをとりきれないおじさんの飲み物」という印象を消費者に与えてしまっていました。

しかし、レッドブルのCMではブランドメッセージである「レッドブル、翼をさずける」という言葉だけを伝えることに注力し、CMの中にも疲れた人は一切登場しません。むしろ冒険の様子をCMで表現することにより、これまでの「疲れが溜まっているおじさんが飲むもの」というイメージを一新し、「気合を入れたい若者が飲むもの」というイメージを持たせることに成功したのです。

すなわち市場におけるターゲティングを従来の「おじさん」から「若者」へと変更し、ポジショニングも「疲れた時に飲むもの」から「頑張りたい時に飲むもの」としたことによって、今までは若者自身も気付いていなかったインサイトを刺激することに成功したといえるでしょう。このようにレッドブルはブランドマーケティングの成功事例として多くの人に知られています。

ユニクロ

 

この投稿をInstagramで見る

 

ユニクロ公式(@uniqlo_jp)がシェアした投稿


ユニクロといえば「ヒートテック」というイメージを持っている人も多いでしょう。このヒートテックはイメージだけではなく、実際に2017年に累計売上が10億枚を突破するほどの主力商品になっています。単純計算で日本の国民が一人10枚持っていることになるヒートテックは、「流行に左右されずに普遍的な定番商品を追求する」というユニクロのブランドアイデンティティによってここまでの人気商品へと成長しました。

既に企業名をプロモーションする必要がないほど知名度の高いユニクロですので、当然ながら顧客の大多数は新規顧客ではなくリピーターとなります。ユニクロは、この顧客に対して「ユニクロなら安心して購入できる」と感情移入をさせることによりブランドマーケティングに成功し、ヒートテックの売上を大きく伸ばしたのです。実際、今ではユニクロ以外にも多くの企業が暖かいインナーを販売していますが、それでも変わらずにユニクロのヒートテックを着続けているという人も多いのではないでしょうか。その選択こそが、ユニクロの築いたブランドマーケティングの成功としての証なのです。

東京ディズニーランド

 

この投稿をInstagramで見る

 

TokyoDisneyResort 東京ディズニーリゾート(@tokyodisneyresort_official)がシェアした投稿


修学旅行などで行き先に設定されることも多い東京ディズニーランドのコンセプトは「夢と魔法の国」です。これはミッキーなどの着ぐるみやアトラクションだけで夢と魔法の国であることを来園者に意識させているのではなく、全てのキャストが徹底して来園者の夢を壊さないように協力しています。

たとえば、有名な事例としてはある来園者が掃除をしているキャストに「何を拾っているんですか」という質問をした事例があります。この時、他の遊園地であれば「お客様の落とされたゴミを集めています」などの返答をするでしょう。しかし、このディズニーのキャストは「星のかけらを拾っています」と答えることによって、夢と魔法の国にはゴミなどは落ちていなく、むしろ星のかけらが落ちているというディズニーのブランドイメージの構築に貢献したのです。

この答えだけでもディズニーのブランドの強固さが分かる事例ですが、さらに驚くべきはこの返答がマニュアルには載っていない質問されたキャストのオリジナルの返答であるという点です。実際、他のキャストに同じ質問をしても、全員が違う答えながら夢と魔法の国というコンセプトを壊さない返答をしてくれるという調査結果もあります。ディズニーのキャストは正社員ではなく契約社員やアルバイトが大半を占めていると言われていますが、正社員以外にもしっかり教育が行き届いているからこそ、こういうマニュアル外の返答ができるのでしょう。

実際、ディズニーはファンが「自分もディズニーで働きたい」という理由で就職することも多いと言われています。ディズニーファンが働いているからこそ「ディズニーランドとはどういった場所なのか」を理解して働くことができ、さらに世界観を壊さないための貢献意欲も高くなっているのです。ブランドマーケティングの成功事例の中でも、最も感情移入されている事例だといっても良いのではないでしょうか。

ダヴ

 

この投稿をInstagramで見る

 

Dove Global Channel 🌎(@dove)がシェアした投稿


ダヴの持つブランドアイデンティティは「固定観念にとらわれて美しさを見失っている女性たちに本当の美しさを知ってもらう」ことにあります。そんなダヴが2013年に出したプレスリリースには、世界の女性の中で自分を美しいと思う女性は4%しかいないという調査結果が掲載されていました。それだけではなく、世界の半数以上にあたる54%の女性が自分の見た目に厳しいのは自分であることを認めているという調査結果も載っていたのです。

この調査結果によれば、およそ7億人の女性が自分自身に対して厳しい目を持っていることになります。これは「本当の美しさを知ってもらいたい」というダヴの理想とはかけ離れているものが分かるでしょう。ダウは自分自身に厳し目を向けるだけではなく「美しさとはこうあるべき」という意識から解放されて、全ての女性が自分の美しさに気付くことによって自信に満ち溢れ、「自分は美しいだろうか」と悩むことすらしない世界を目指し隊を考えているのです。

すなわち、ダヴは「自分は美しいだろうか」という疑問を持っている女性の意識を「私の美しさを追求したい」という意識に変えることこそが企業の使命だと考えています。実際、そういったブランドアイデンティティを持つダヴは、Instagramの中でも様々な人種・年齢・体型の女性を起用してプロモーション活動を行っています。54%の女性が自分の見た目に厳しい目を持っているからこそ、「各自が既に持っている美しさを追及することが大切」というダヴの考え方は多くの共感を呼び、感情移入されるブランドとなっているのです。

スターバックス

 

この投稿をInstagramで見る

 

スターバックス公式(@starbucks_j)がシェアした投稿


ブランドマーケティングといえば、ディズニーランドの事例と同じくらい有名なのがスターバックスの事例です。スターバックスは、同価格帯のカフェと比べても接客の質が非常に高く、多角的にサービスブランディングに成功しているカフェです。

たとえば、スターバックスといえばコーヒーというイメージが強いかと思いますが、2011年以降はスターバックスのロゴから「coffee」の文字が消えていることはご存知でしょうか。これはスターバックスのブランドアイデンティティである「人々の心を一杯のコーヒー、一つのコミュニティから豊かにする」という考え方に基づいていて、人々の心を豊かにするためにはコーヒーだけではなく他の手段も有効であると考えたからこそロゴから「coffee」の文字が消えたと言われています。すなわち、スターバックスは以前の「コーヒーを売る場所」から「心を豊かにする場所を提供するカフェ」ニシン科たのです。

ディズニーランドの事例でもブランドマーケティングにおけるスタッフ教育の重要性を紹介しましたが、スターバックスも同様にバリスタの教育に力を入れている店舗です。アルバイトであってもほぼ一ヶ月にあたる一人80時間の教育を施し、コーヒーの知識はもちろん淹れ方や掃除の方法、ブランドアイデンティティも含めて徹底的に指導します。その結果、普通の喫茶店よりは高くてもホテルのロビーよりは安く、それでいてホテルのロビー並の居心地を提供できる場所へと成長したのです。さらにイートインだけではなくテイクアウトも楽しめるようにすることで、ゆっくりカフェでくつろぐことが難しいという人も含めた色々な立場の消費者に愛されるようになりました。

IBM

ここまではB2Cの領域のブランドマーケティングの事例を紹介してきましたが、B2Bの領域でもブランドマーケティングは重要視されています。コンピュータの関連製品やサービスを取り扱っているIBMも、ブランドマーケティングの一環として「コグニティブコンピューティング」というソリューションブランディングを掲げています。

このコグニティブ(cognitive)とはすなわち認知プロセスを意味し、「人間が何かを認知した時に理解するまでのプロセス」という意味を持ちます。つまりコグニティブコンピューティングとは、システムを単なる「情報を処理する機械」としてではなく「人間のように自発的に学習するシステム」と定義する考え方なのです。IBMが目指している「ITシステムによる創造的かつ革新的なサービス」に向け、今までのシステムとは全く違うものを目指していることが非常に分かりやすいソリューションブランディングであることが分かるでしょう。このように明確なブランドイメージを掲げることによって消費者との共有を容易にすることも、ブランドマーケティングの手法の一つなのです。

ブランドマーケティングにインフルエンサーを起用すべき理由

実はブランドマーケティングには、最近注目されているインフルエンサーの起用が非常に効果的であると言われています。では、なぜブランドマーケティングとインフルエンサーは親和性が高いのでしょうか。ここでは起用が望ましいと言われている理由を三つ紹介していきます。

「ブランドの顔」が生まれる

インフルエンサーを起用することによって「このインフルエンサーは〇〇というブランドを使っている」と消費者に印象付けることが可能になります。すなわち、影響力の強いインフルエンサーを起用することによって、ブランドの顔を生み出すことができるのです。

たとえばダヴのように様々な女性を起用することによって、各々の美しさを追求するというブランドアイデンティティを伝えやすくなることもあるでしょう。起用するインフルエンサーのイメージと企業のブランドイメージが合っていれば、文字や広告よりも強烈に消費者に伝えることができるのです。

消費者に感情移入させやすくなる

インフルエンサーを起用するプロモーション活動は、従来までの商品広告とは違い実際の使用風景を投稿するインフルエンサーが多いという違いがあります。すなわち消費者に対してインフルエンサーが日常的に使っている光景を見せることで、今までよりも具体的に商品のイメージを想起させることが可能になるのです。

テレビのCMのように整った環境で使われた断片だけを見せるよりは、普段から自分の生活を見せているインフルエンサーが使っている姿を見せることで、消費者も感情移入させやすくなるでしょう。「自分もこういう時に使いたい」と思わせるなど、消費者から選ばれる可能性を高めることができるのです。

ターゲットに対してアプローチしやすい

ブランドマーケティングに限った話ではありませんが、インフルエンサーの起用はクリティカルなアプローチも可能にしてくれます。多くの場合、インフルエンサーは確固たる顧客を既に抱えています。「Aというインフルエンサーはラグジュアリーな生活を目指すフォロワーが多く、Bというインフルエンサーは時短に興味のあるフォロワーが多い」のように、インフルエンサー自身が一つのジャンルとなっていることも少なくはありません。

そのため、企業はブランドイメージに合うインフルエンサーを起用するだけで、ブランドの顔を作るだけではなくクリティカルなアプローチも可能になるのです。インフルエンサーを起用した時点で熱狂的な顧客を増やせる可能性が格段に高まるため、ブランドマーケティングにおいてインフルエンサーの起用が効果的なことは言うまでもありません。

ブランドマーケティングで安定した売上を手に入れよう

消費者からの感情移入が必要になるなど、ブランドマーケティングは今までのマーケティング論とは違った視点からのアプローチが必要となるマーケティング戦略です。しかし、だからこそブランドマーケティングに成功することで以前よりも売上が安定するというメリットもあります。今後、競争が激化していく市場を勝ち抜くためにも、ぜひブランドマーケティングで安定した売上を手に入れてください。

また、既に紹介したようにブランドマーケティングにおいてインフルエンサーはブランドイメージの伝達やクリティカルなアプローチに非常に強い影響力を発揮します。今後、ブランドマーケティングにおいてインフルエンサーの起用を検討している場合は、ぜひトリドリマーケティングにご相談ください。