ペルソナマーケティングの手法やメリットと成功事例5選

ペルソナマーケティングで顧客の心を掴もう

ペルソナマーケティングを活用することができれば、今までよりも一層消費者の心を掴み、消費者の需要にあった供給をすることができます。すなわち、消費者を熱狂的な顧客へと成長させることができ、企業としても安定的な需要を確保することにより売上額が安定するというメリットがあります。

では、そもそもペルソナマーケティングとはどのようなマーケティング戦略なのでしょうか。ペルソナマーケティングに関する基礎知識やペルソナマーケティングを行う際に知っておきたい基本的な手法、そしてメリット・デメリットと実際に行われているペルソナマーケティングの成功事例やポイントを知り、今後のマーケティング戦略に活かしていってください。

ペルソナマーケティングとは?

最近話題のインフルエンサーマーケティングを始めとして、マーケティング戦略は新旧合わせて数多く存在しています。では、その中でも「ペルソナ」に着目することによって可能になるペルソナマーケティングとはどのようなマーケティング戦略なのでしょうか。ここでは基礎的な知識を知っていきましょう。

ペルソナマーケティングとは

ペルソナはそもそもはラテン語の”persona”という単語に端を発します。このpersonaは古典劇で役者が使用する仮面のことをいい、そこから派生して心理学者のユングが「人間の外的側面」を「ペルソナ」と呼ぶことになりました。

この「人間の外的側面」に関してマーケティング上の意味を考えてみると、商品やサービスにおける典型的で象徴的なユーザー像のことを意味します。すなわち、ある商品の利用者が仮に100人いるとすると、そのうちの90人くらいが同じ特徴を有している場合、この90人が「ある商品」を求めるペルソナだと定義できるのです。

ペルソナマーケティングでは、このペルソナを設定することによってマーケティング戦略を立てていきます。「ペルソナが何を望むか」を考えることによって、消費者の需要を仮定して消費者に求められる商品やサービスを生み出すことが可能になるのです。

言い換えれば、ペルソナマーケティングを活用することにより、企業は今までよりもさらに顧客を取捨選択することが可能になります。企業が設定したペルソナ具体的であればあるほど、必然的にそれ以外の消費者層には需要のない商品が生まれます。すなわち、ペルソナマーケティングは具体的なユーザー像を設定することで消費者の需要を予測し需要に即した商品やサービスを提案できるだけではなく、企業側から「どのような消費者に求めてほしいのか」を明確に表せるマーケティング戦略だといえます。

「ペルソナ」と「ターゲット」の違い

上記のペルソナマーケティングの説明を読むと、ターゲットマーケティングと非常に酷似していると感じる人も多いのではないでしょうか。実際、ターゲットマーケティングでも「30代女性向けのスキンケア商品」のように、商品を利用するユーザー像を設定することにより商品のプロモーション展開を考えることをします。ユーザー像を細かく設定しなくても、30代女性向けのスキンケア商品を50代の男性が手に取ることは稀であるため企業としては意図しなくても消費者の取捨選択を行っていることになるでしょう。

ただし、ペルソナとターゲットは混同されがちですが実は大きく異なるものです。よく知られているターゲットの場合、既に紹介したように「30代女性」や「40代男性」などのように年齢や性別といった一般的な項目だけで消費者をカテゴライズします。しかし一方で、ペルソナは年齢や性別だけではなく、住んでいる地域や家族構成、職業や役職や年収、働いている環境や通勤手段、趣味や価値観、既婚か独身かといったライフスタイルなどのプライベートな部分まで詳細に設定します。これに加えて名前なども設定することで、ペルソナはまるで実在している人物であるかのように仮定されます。

このようにペルソナを実在している人物レベルまで具体的に仮定することにより、その人物の商品選択の基準が想定しやすくなり、また社内で共有しやすくなることにより戦略の方向性や具体的な施策を構築しやすくなるのです。すなわち、ペルソナとターゲットは一見酷似しているように感じられますが、人物設定の深さが圧倒的に異なります。これはどちらが優れているというわけではなく、マーケティングの目的に応じて適切に使い分けていかなければなりません。

ペルソナマーケティングの手法

ターゲットマーケティングと比べて深い人物像の設定が必要になるペルソナマーケティングは、ターゲットマーケティングのノウハウを活かすことはできるものの今までとは違う手法で行っていかなければなりません。ここではペルソナマーケティングを活用する際に覚えておきたい手法を一つずつ解説していきます。

自社分析

マーケティング戦略を立てる際には、自社がどのような立ち位置にいてどのような強みを持っているのか、あるいはどのような弱みを競合他社に突かれる可能性があるのかということを知っておかなければなりません。ペルソナマーケティングの場合、一般的には「Customer(市場・顧客)」、「Competitor:競合」、「Company:自社」と呼ばれる三つのCを使う「3C分析」を用いて行われます。

参入しようとしている、あるいは既に参入している市場はどの程度の規模でどういった顧客がいるのか、競合他社はどのような強みを持った商品やサービスを提供しているのか、一方で自社の商品やサービスはどのような差別化を提供できるのかということを分析し、自社の商品やサービスの強みや弱みを客観的な視点から深掘りしていきます。ここで分析した自社商品あるいはサービスの強みや弱みは、次の段階で作成するペルソナを惹きつけるための重要な項目となるので、この項目は定期的に見直しを行っても良いでしょう。

ペルソナ作成項目を考える

自社の分析が終わったら、次はいよいよペルソナマーケティングの核であるペルソナを作成するために決める項目を決定していきます。ここではペルソナを作成するためにできるだけ多くの項目を洗い出す必要があります。例として、ある会社がペルソナを作成するために決定している項目を見ていきます。

〇基本情報
(氏名、年齢、性別、現在の居住地、出身地、血液型、誕生日など)

〇学歴、職歴
(転職している場合は過去の職業も含めた業界、業種、職種、役職、年収など)

〇家族構成
(実家暮らしか一人暮らしか、独身なのか既婚なのか、子どもの有無など)

〇ライフスタイル
(起床時間と就寝時間、通勤時間、日々の食生活、休日の過ごし方など)

〇趣味
(インドア派かアウトドア派か、好きな音楽、よく読む本、好きな映画、好きな作家など)

〇性格
(ペルソナの価値観や仕事における最終的な目標、迷った時の判断基準など)

〇インターネットの利用状況
(使っているデバイス、日々の利用時間、よく利用するSNS、情報収集の際によく見るサイト、趣味として利用しているサイトなど)

この項目を見て自分自身の情報を入力すると、非常に細かく項目設定されていて自分でも答えに悩む部分があることに気付くでしょう。しかし、ペルソナマーケティングを行う際にはしっかりこの項目を埋めていく必要があります。

また、ここで注目したいのがインターネットの利用状況という項目です。以前までのペルソナマーケティングにおいては、この項目はそれほど重要視されておらず「趣味」の項目に「休日もインターネットを利用するか」という内容で組み込まれている場合がほとんどでした。しかし現在ではインターネットおよびSNSの利用率が高まっているため、ペルソナマーケティングにおいても非常に重要な項目となっています。特によく利用するSNSや使っているデバイスを設定することで、インフルエンサーマーケティングに活用することも可能になるでしょう。商品やサービスのプロモーション活動を効率的に行うためにも、非常に重要な項目となっていることは覚えておいた方が良いかもしれません。

ペルソナ作成

ペルソナを作成するための項目が設定されたら、次は項目を埋めていくことで実際にペルソナを作成していきます。しかしながら、ペルソナ作成では実在の人物のようにリアルな人物を作り出すことが目的ですので、適当に項目を埋めるのは好ましくありません。適当に設定を考えていくと、現実と乖離している架空の人物が生まれてしまうので、これまでに行ってきたWebアンケートや街頭インタビューといった既存の調査結果を分析しながら項目を埋めてペルソナを作成していくようにしましょう。たとえばWebアンケートに対してスマホよりもPCからの回答が多いようであれば、インターネットの利用状況におけるよく使うデバイスはPCとするように、現実の顧客を参考に埋めていきます。

それだけではなく、場合によっては自社のWebサイトのアクセス解析や、競合他社がとらえている顧客も含めた市場調査を行ってペルソナを作成していくこともあります。「自社にとって都合の良いペルソナ」を作り出すのではなく、あくまでも現実に顧客を掴まえるための手助けとなるペルソナを生み出すことが重要になってきます。また、仮にマーケティング戦略としてペルソナを二名以上作成する必要がある場合には、あまりにも項目に一致する部分が多すぎないように注意しながら作成していく必要があります。現実のデータを元に、現実に即したペルソナを構築していってください。

ただし、名前に関しては各種アンケートの結果をそのまま流用する必要はありません。ペルソナの特徴を捉えてイメージしやすい名前をつけるようにすると良いでしょう。たとえばアウトドアの趣味を持ち普段からポジティブ思考で交友関係も広いペルソナに関しては「明美」など明るいイメージのある名前をつける方が、社内での意識も統一しやすくなります。ペルソナの名づけに関しては、「こういう人間になってほしい」と親が子どもに名付ける時のように意味を込めた名づけを行うのがおすすめです。

PDCA

ペルソナの作成が終われば、そのペルソナにふさわしいように商品やサービスを生み出す、あるいは改良していくことで、ペルソナに近い特徴を持つ顧客の需要を掴むことができるでしょう。しかしながら、仮に多くの顧客を掴めるペルソナを構築することができたとしても、そこでペルソナマーケティングが成功して終わりとなるわけではありません。

ペルソナを作成した場合、定期的に見直すことが必要になってきます。ペルソナを定期的に見直さないと、いつの間にか現実の顧客との乖離が生じてしまう恐れがあります。そうなると、一見売上が生まれているように見えても単に固定の顧客が利用してくれているだけで、新規顧客はつかめていないという商品やサービスになってしまいかねません。今後も継続的な売上を維持するためには常に新規の顧客を取り込む機会を狙う必要があるので「現在の商品やサービスはどのような立ち位置にいるのか」を3C分析を活用して客観的に分析しつつ、新たなペルソナを構築して今後の計画立案を行うようにしてください。

ペルソナマーケティングのメリット・デメリット

顧客に寄り添うという点でペルソナマーケティングは非常に効率の良いマーケティング手法です。しかしながら、そのペルソナマーケティングも決して万能というわけではありません。当然メリットだけではなくデメリットも存在しているので、ここではそれらを確認していきましょう。

【メリット】需要の理解

ペルソナマーケティングの最大のメリットは、やはり顧客の需要を深く理解できるということでしょう。ターゲットマーケティングと似通っているペルソナマーケティングですが、ターゲットマーケティングよりもさらに詳しいユーザー像を設定することで、必然的にユーザーの需要に関しても深く考える機会を得ることができます。一つの商品やサービスにペルソナを設定した経験が、それ以降の他の商品やサービスの開発に役立つということも決して珍しいことではありません。

また、ペルソナマーケティングでは先ほど紹介したようにインターネットの利用状況も重視されています。ペルソナを詳しく設定した上でインターネットの利用状況を設定すると、クリティカルなインフルエンサーマーケティングが可能になるでしょう。インフルエンサーの選定や起用の段階でペルソナに即したインフルエンサーを選出することができるだけではなく、普段から使っているSNSや使用デバイスに合った起用計画を立てることができます。インフルエンサーによってはスマホユーザーには広く認知されていてもPCユーザーからの知名度は低い、あるいはその逆のインフルエンサーもいるので、そうしたインフルエンサーも上手く活用することができるでしょう。クリティカルな起用をすることによりベネフィットも得られやすくなり、企業としては非常に費用対効果が良くなります。

もちろん、インフルエンサーマーケティングに限らずともペルソナを理解すればするほど、そのペルソナにふさわしいプロモーション活動ができるようになるでしょう。使用する広告媒体の選択など、ペルソナのライフスタイルに合わせることで今までよりも圧倒的に効果的なプロモーション活動が可能になります。

【メリット】共有の容易化

ペルソナを作成するメリットとしては、イメージの共有が容易になるというメリットがあります。たとえばターゲットマーケティングのように「30代女性」という一般的な要素だけでユーザー層を設定した場合、プロジェクトメンバーの中に大きなイメージのズレが生じるリスクが発生してしまいます。たとえばあるメンバーは都心で働く独身のキャリアウーマンをイメージして、彼女に向けて高価格ながらも高品質な化粧品を売り出すべきだと主張するでしょう。一方で、他のメンバーが地方に暮らしていて子どもが二人いる専業主婦をイメージし、彼女に向けた低価格で時短可能な化粧品を売り出すべきだと主張するかもしれません。実際にはある程度の価格帯や「〇〇で働く30代女性」あるいは「育児で時間がないため時短したい30代女性」のようなイメージの共有は行われるため、この例ほど極端な差異が生まれることはほとんどありません。しかしながら、ユーザー像の持つイメージが少なければ少ないほど、それ以外の部分で差異が生まれるリスクはあるのです。

こういったリスクも、ペルソナを設定することで防ぐことが可能です。細かいペルソナを作り、場合によっては容姿に関するペルソナ項目まで作成することによって、プロジェクトメンバーがユーザー像に抱くイメージを共通のものとすることができるでしょう。また、社内はもちろん社外に情報を提供して業務提携する場合にも、細かなペルソナを伝えた方が認識のズレが商事づらくなります。結果的に、円滑なコミュニケーションが可能になり効率良く仕事ができるようになることは間違いありません。

【デメリット】新規顧客を掴みづらくなる

情報共有やクリティカルなプロモーション活動という点で大きなメリットを持つペルソナマーケティングですが、実は新規の顧客を掴みづらくなるというデメリットがあります。先ほどペルソナマーケティングの手法で紹介したように、ペルソナを構築する際には既存顧客のデータやインタビューへの回答を元に構築していきます。つまり、今まで20代~30代の女性を多く捕まえていたメーカーの場合、そういった女性たちが現時点で満たされていない需要を満たすような商品やサービスを生み出す可能性が高くなるでしょう。

これは既存顧客のエンゲージメントを高めることができ、その結果として大きなベネフィットが得られる可能性もありあます。しかしながら既存の顧客ばかりをペルソナのモデルにしておくと、この例でいえば10代女性や40代以上の女性の需要が反映されない商品やサービスばかりが生まれることになり、自社の商品やサービスが停滞してしまう可能性が高くなるのです。

企業としては今までとは違う商品やサービスで新しい顧客に対するアプローチを成功させているつもりでも、実際に購入した人を見てみると既存の顧客が既存の商品から新規の商品へと乗り換えただけとなっていて、結果的に新規顧客がないがしろにされてしまっている可能性もあります。現実的なペルソナを設定する際に非常に陥りやすい失敗ですので、ペルソナマーケティングに挑戦する際には必ず頭に入れておくと良いでしょう。

【デメリット】ペルソナが固定化しやすくなる

ペルソナマーケティングを行う際には、必ずPDCAサイクルによって定期的にペルソナを見直して現実と乖離していないかチェックする必要があります。しかしながら、どうしても心情的に売上が高く安定していると見直す必要性を忘れてしまうことがあるでしょう。あるいは、見直さなければならないことは自覚していても「今はまだその時ではない」と怠ってしまうこともあります。

売上が安定しているといっても、必ずしもペルソナマーケティングが成功しているわけではないことは覚えておかなければなりません。ペルソナを設定して消費者に向けた商品やサービスを提供したつもりでも、実際に商品やサービスを利用しているのは設定したペルソナとは全く違う属性を持つ人たちである恐れがあります。この場合、どれほど売上が生まれていてもペルソナマーケティングとしては失敗だと言わざるを得ないでしょう。売上が発生した時に本当にペルソナと合致しているのかをチェックし、合致している場合でも少しでもズレが生じた場合にはすぐにペルソナを設定し直せるように、常にペルソナが固定化しないようなチェックを行っていくことがペルソナマーケティングにおいては非常に重要です。

ペルソナマーケティングを行っている企業の事例5選

では、実際にペルソナマーケティングを行っている企業としてはどのような企業が知られているのでしょうか。ここでは、実際にペルソナマーケティングを行い、成功を収めている企業の事例を五つ紹介していきます。それぞれのペルソナ設定の際の工夫や着眼点も紹介していくので、ペルソナマーケティングを行う際の参考にしてみてください。

日立アプライアンス株式会社

日立アプライアンス株式会社は、日立グループの中でも業務用エアコンを専門的に取り扱う会社です。ペルソナマーケティングの中でもB2Bの会社がペルソナを設計して成功した代表的な事例として広く知られていて、実際にペルソナ設計の見直しによって市場シェアを9.8%から11.1%まで大きくアップさせました。

エアコンを売る時、家庭用のエアコンであれば機能やデザインといった消費者が重視する項目も分かりやすく、差別化も比較的容易です。しかしながら、日立アプライアンスが取り扱うのは業務用のエアコンのため、従業員一人一人の意見が反映されて購入が決まるわけではなく、そのためアプローチが難しい業界と言われていました。業務用エアコンが売れる際、取引の流れとしては「日立アプライアンス→特約店(卸会社)→実際に会社などに取り付けを行う設備店→従業員」という流れになっています。この流れを見ると、ペルソナを企業の従業員、あるいは特約店に設定するのが一般的だと考える人が多いでしょう。実際、日立アプライアンスも当初はペルソナをエンドユーザーである企業の従業員に設定していました。

しかしながら、それで思うような業績とならなかったため、日立アプライアンスはペルソナとして「旭立信彦」という設備店の店長を作成しました。設備店の店長をペルソナとすることで、設備店がどのような課題を持っているかを明確にしようとしたのです。実際、業務用エアコンの取り付けを行っている設備店1,800店舗以上にアンケートも行い、旭立信彦というペルソナの現実感を高めることにも成功しました。このペルソナの設定により設備店が直面している課題を把握し、その課題を解決したことによって取り付けが楽で設備店としても会社に紹介したいと思える業務用エアコンに改良することを可能にしたのです。結果的に選ばれる業務用エアコンとなり、1.3%アップという大幅な市場シェアの向上に成功しました。

Soup Stock Tokyo

Soup Stock Tokyoは三菱商事内で初の社内ベンチャーとして生まれた、食べるスープを専門とする店舗です。利用したことはなくても、駅の構内などで見かけたことがあるという人も多いのではないでしょうか。このSoup Stock Tokyoも、ペルソナマーケティングを成功させたことによって創業からわずか10年で売上高42億円を達成したと言われています。

Soup Stock Tokyoが設定したペルソナは「秋野つゆ」という都心で働く37歳のキャリアウーマンでした。経済的な余裕があるため価格よりも機能性を重視する傾向が強いという人物像を設定し、この他にも味の嗜好はもちろん性格なども細かく設定しました。この秋野つゆを満足させるような施策を積極的に打ち出すことで、Soup Stock Tokyoは大成功を収めたのです。

Soup Stock Tokyoの価格帯はレギュラー商品であっても630円と、他の飲食店と比べると高めに設定されていることが分かります。しかしながら、そもそもSoup Stock Tokyoがペルソナとして、経済的な余裕がある人がターゲットとなっているため少し高くても機能的な商品を求める人たちにヒットしました。さらに都心で働くキャリアウーマンが通いやすいよう、駅構内や駅周辺を中心に出店したことによって利便性も高くなり多くの顧客を獲得できたと言われています。

このSoup Stock Tokyoが設定した秋野つゆの事例からも分かるように、無理がなく現実的に存在しているペルソナを設計することに成功すれば、そのペルソナを満足させる店舗を生み出すことで多くの人を満足させることが可能になります。具体的に満足させるために考えれば考えるほど、しっかりターゲットたちの心を掴む商品を生み出すことができるでしょう。

「現実的なペルソナを設計して、それを満足させるものを生み出す」と考えると非常に困難い聞こえるかもしれませんが、実はこれは特別に難しいことではありません。たとえばファッションを考えた時でも、単に「男ウケが良いファッション」を目指そうとしても、男性の好みもスポーティなファッションが好きな人もいれば、カジュアルなファッションが好きな男性もいますし、女子アナ系のファッションが好きな人もいるため、なかなか決めることはできません。しかし、そこに「彼女と一緒にアウトドアなデートがしたい男性の好みを考える」や「彼女と家でのんびり過ごすデートが好きな男ウケの良いファッション」などの属性を足していくことで、方向性が見えてくるでしょう。このように、個人によって当然違う趣味や嗜好を、ペルソナの属性を足すことで少しずつ方向性を決めていくことがペルソナマーケティングの手法なのです。

富士通株式会社

富士通株式会社は、PCなどITソリューションの製品をメイン事業としている会社です。この富士通は、複数のペルソナを設定することによって自社ホームページ上で公開しているハンドブックの累計ダウンロード数が7,000件を突破したと言われています。

富士通は、富士通のサイトを調べ学習の課題に利用している小学生とその担任の先生、そして小学生の保護者という三つのペルソナを設定しました。小学生のペルソナを設定することにより、小学生の視点から「富士通のサイトをどのように使っているのか」、「調べ学習の課題が出た時に使いやすいサイトなのか」、「再度使いたいと思えるサイトなのか」という分析が可能になります。同様に先生や保護者の視点からも「富士通のサイトを使わせたいと思うか」というように小学生が使うサイトとして富士通のサイトは適切であるかという視点で自社サイトをブラッシュアップすることができたと言われています。

ここで大切なのは、同じ「小学生」といっても数年が経過すると大きく価値観が変化するということです。たとえば、以前の小学生であれば携帯電話を所持している子は珍しかったでしょうが、現在ではスマホを使いこなしている小学生も少なくはありません。大人に比べて小学生は価値観の移り変わりも大きいと言われているので、富士通はペルソナを非常に短いスパンで更新していることが推測されます。

短いスパンで見直しを行い更新が必要になる複数のペルソナ設計をすることは、企業にとって大きな負担となってしまうでしょう。しかしながら、富士通のように顧客の年齢層が広い企業としては必須となります。自社の抱えている顧客、あるいは今後新規顧客としたい層によっては富士通のように複数のペルソナ設計も検討すると良いでしょう。

シナジーマーケティング株式会社

シナジーマーケティング株式会社は、CRMクラウドサービスや広告代理店としての役割を担う会社です。このシナジーマーケティングはペルソナ設計に注力することにより、社内体制が大きく改善された事例として知られています。

元々、シナジーマーケティングはペルソナマーケティングの手法を積極的に導入している会社でした。しかしながら製品開発やプロモーション企画など、各部門ごとに独自にペルソナを設計し、そのペルソナに基づいて問題解決行動を行ていました。

そのため、シナジーマーケティングは「複数の部門やプロジェクトで似たようなペルソナを作ってしまい、結果的に社内のペルソナ設計にかける総時間が増えてしまいコストが増加する」という問題と、「ペルソナを部門やプロジェクトごとに個々で作るため、顧客設計に矛盾が多く生じてしまい、部門連携が必要な時にペルソナを設計した意味がなくなってしまう」という問題を二つ抱えていました。そこで、シナジーマーケティングはあらゆる部署や立場の代表者を集めて、統一のペルソナを設計することで解決を図ることにしました。さらにペルソナが現実の顧客から大きく乖離してしまわないように、営業やコールセンターといったサポート部門など、顧客と接点を多く持つ部門にインタビューを行い、ユーザーを間接的に調査することによって大きな乖離が出ないように対策も行いました。また、このユーザーを間接調査する際には顧客と接点を持つ部門がどこであるか明確にするために、カスタマージャーニーマップも作成し、顧客を今まで以上に深く分析していきました。

こうして、シナジーマーケティングは抱えている「ペルソナが複数存在している」という課題のみを解決するだけではなく、その際にアンケートなどの聞き取り調査も行うことによって今までよりも一層リアルなペルソナ設計を可能にしました。さらに単一のペルソナを作るだけではなく「会社ペルソナ」と「個人ペルソナ」という複数のペルソナを設計することにより、ターゲットも分かりやすくなりました。また、カスタマージャーニーマップの作成により顧客との接点を明確にしたことで、ペルソナマーケティングの重要なポイントであるPDCAも円滑に行えるようになるなど、「ペルソナ設計のコスト削減」といった当初の課題以外にも様々な課題を解決することに成功したのです。

ダイヤモンド社

ダイヤモンド社は、本や雑誌などでビジネスに役立つ情報を発信するグローバルなビジネスメディアの一つです。このダイヤモンド社は、会社員ではなく敢えて教師をペルソナとして据えることによって、ダイヤモンド社が発行している本だけでは得られない情報を得るためにホームページを訪れる人物に向けて、分かりやすく自社ホームページのUIを改修することに成功しました。

結果的に、普段から密接にビジネスに関わっていない人でも分かりやすくクリティカルな情報にアクセスできるコンテンツを発信するホームページに改修することができたのです。このダイヤモンド社の事例のように、既に多く抱えている顧客だけではなく本来の顧客とは少し違った立ち位置にいる顧客をペルソナに据えることによって、多くの顧客のエンゲージメントを一気に高めることもペルソナマーケティングは可能にしてくれるのです。

ペルソナマーケティングを円滑に行うポイント

顧客の理解ができるため、クリティカルな商品やサービスを販売する際に非常に大きな効果を持つのがペルソナマーケティングです。では、そのペルソナマーケティングを円滑に行うためにはどのようなポイントを覚えておけば良いのでしょうか。最後に三つのポイントを紹介していきます。

ペルソナを見直すスパンを設定する

ペルソナマーケティングを活用する際に陥りがちな落とし穴として、売上が維持されている時はペルソナを見直すべき時期ではないと考えてしまい、ペルソナが古くなってしまうという落とし穴があります。そういった事態を避けるためにも、ペルソナは定期的に見直す習慣をつけましょう。売上が低調な場合はもちろん好調な場合でも、時期が来たら見直すように決めておかなければ時期を逃してしまう恐れがあります。

たとえば紹介した富士通の事例では、同じ小学生でも時代によってネットリテラシーや価値観は大きく違うことに着目して定期的なペルソナの見直しを行っています。自分と同じ性別、同じ年代の人であっても働き方やライフスタイルが違えば価値観は大きく異なります。そのことに注意しつつ、頻繁にペルソナを見返して実際の顧客との乖離がないかチェックすることで、さらに円滑にペルソナマーケティングを活用することができるようになるでしょう。

複数のペルソナを設定する

これは必ずしも必須のポイントではありませんが、基本的にペルソナマーケティングは複数のペルソナを設定する方が成功すると言われています。富士通とシナジーマーケティングの事例でも複数のペルソナを設計した事例を紹介しましたが、あのように時と場合に応じたペルソナを設計することによって多くの人に愛されることができるようになるでしょう。

また、ペルソナマーケティングのデメリットとして新規顧客の取り込みが苦手であるというデメリットを紹介しましたが、複数のペルソナを設計することで既存の顧客に準じたペルソナと、新規顧客の取り込みを想定したペルソナを設計するなど、ペルソナの使い分けも可能になります。一つの商品やサービスの想定するユーザー像は一つだったとしても、今後の新規顧客に向けた二つ目のペルソナは設計しても良いのではないでしょうか。

設定したペルソナに届ける仕組みを作る

ペルソナマーケティングでは、設定したペルソナに対してクリティカルな商品やサービスを販売することが可能になります。言い換えれば、ペルソナ以外の属性の人たちには価値のないものになってしまいがちですので、設定したペルソナに届けることができないと、どんなに質の高い商品やサービスであっても見向きもされずに終わってしまうリスクがあります。そこで、ペルソナマーケティングを行う際には必ず設定したペルソナに間違いなく届く仕組みを作るようにしましょう。

SNSの広告出稿を活用したり、既に紹介したようにインフルエンサーを起用してインフルエンサーマーケティングとペルソナマーケティングを併用するのも良いでしょう。設定したペルソナに当てはまる人は全員その商品やサービスを知っていて、一度は検討したことがあるという状況を作り出すことが非常に重要です。

ペルソナマーケティングで顧客にもっと寄り添おう

ペルソナマーケティングを活用することで以前よりもさらに顧客の需要に即した商品やサービスを販売できるようになるだけではなく、今まで以上に顧客を理解することで様々なプロモーション活動が可能になるでしょう。今までとは違う広告媒体を使うことで、さらに効果的にプロモーションすることもできるようになります。

また、既に触れたようにペルソナマーケティングはインフルエンサーの起用とも非常に相性が良いマーケティングです。もし設計したペルソナを元にインフルエンサーマーケティングを行うのであれば、ぜひ「トリドリマーケティング」までご相談ください。