マーケティングチャネルの事例4選とインフルエンサーの効果

マーケティングチャネル戦略を活用しよう

マーケティングは、以前では単に選ばれる商品を販売することができれば消費者から支持を得られる自体でした。しかしながら競合他社が増えて消費者の情報入手経路も爆発的に増加している現在は、単に選ばれる商品を販売するだけでは消費者から支持されません。

現在はマーケティングチャネルも考えた上で総合的な戦略を立案していく必要があります。マーケティングチャネルも考慮するマーケティング戦略を上手に活用していくことによって、商品の価値を最大化し消費者から選ばれることができるのです。そこで、ここではマーケティングチャネルの定義や種類、チャネルごとの長さの違いといった基本的な知識や実際にマーケティングチャネル戦略で成功を収めている企業の事例、そして現在のマーケティングチャネルの動きを含めた今後の動きの展開予想などを解説していきます。選ばれる企業となるためにも、ぜひマーケティングチャネル戦略を活用してください。

マーケティングチャネルとは

マーケティングチャネル戦略を活用するためには、当然ながらまずマーケティングチャネル戦略について知る必要があります。そうなると、自然とマーケティングチャネル自体も理解しなければならないでしょう。まず、マーケティングチャネルとは商品が生産者の下で作られてから消費者の手元に届くまでに辿る様々なルートや組織を総称する言葉です。最近ではD2Cのように商品が直接消費者の手に届くマーケティング戦略も生まれてきてはいますが、あくまでも一般的には生産者から中間業者の手を経て、それから卸売業者や小売店などを経由して消費者に届くマーケティングチャネルが使われています。

もちろん今後はD2Cのようなマーケティングチャネルが主流となっていく可能性もありますが、爆発的な技術革新がない限りそれほど急激に変化が起きるようなことはないでしょう。もちろんコスト削減によって中間業者を経由せずに直接卸売業者に商品が届いたり、あるいは小売店を経由せずに卸売業者から消費者が直接購入するような事例もありますが、いずれもあくまで現時点では例外の一つに過ぎないということは覚えておいた方が良いかもしれません。

マーケティングチャネル戦略とは

中間業者や卸売業者、あるいは小売店を経由しながら生産者から消費者の手に商品やサービスが届くのがマーケティングチャネルです。では、マーケティングチャネル戦略とはどのような戦略なのでしょうか。

マーケティングチャネル戦略を簡単に表すと、自社のターゲット顧客が「より入手しやすい」あるいは「より価値がある」と思えるような流通経路を獲得し、価値を最大化する戦略です。たとえば、単純に店舗数を増やしてどこに住んでいる顧客でも手に入るようなマーケティングチャネルを構築し、その上で安くて質の高いものを供給するのも一つのマーケティング戦略となります。しかし、現実的には店舗数を無限に増やせるわけではありませんし、簡単に安価で高品質なものを作ることもできません。その時に、より価値の高い流通経路を考えることが本当のマーケティングチャネル戦略です。

マーケティングチャネルを成功させるためには、消費者が現時点でどういった場所で多く購入しているのか、またどういう時に商品をほしいと思うのかを知ることが大切です。たとえば、スポーツ飲料であれば自動販売機で買うよりコンビニ、コンビニで買うよりもスーパーで購入する方が同じものを安く購入することができます。「消費者は商品を少しでも安く買いたい」というマーケティングの基本原理に基づけば、全ての消費者はスーパーでスポーツ飲料水を購入するでしょう。しかし実際には利便性を求めてスーパーではなくコンビニで購入する消費者もいますし、コンビニよりも自動販売機で買う消費者もいるでしょう。特にフィットネスジムの中に自動販売機が設置されている場合、多くの人は遠くのスーパーよりも割高なそこの自動販売機で購入するはずです。

こうした自動販売機の設置が「消費者が運動した時にスポーツ飲料をほしいと思う」分析に基づいたマーケティングチャネル戦略となります。すなわち、商品ごとのターゲットの消費行動を見極めて販売方法を決めることが、マーケティングチャネル戦略において最も重要なポイントとなります。

マーケティングチャネルの種類

マーケティングチャネルは生産者から消費者に商品やサービスが到達するまでの経路を総称したものを言いますが、実は流通の方法や届ける商品あるいはサービスの内容によってマーケティングチャネルは三種類に分類されます。ここではマーケティングチャネルの流通チャネル・販売チャネル・コミュニケーションチャネルについて、それぞれどのような違いがあるのかを詳しく確認していきましょう。

流通チャネル

流通チャネルは、商品やサービスを販売している生産者から、購入する消費者へ届くまでの経路や手段そのもののことをいいます。具体的には配送などの物流業者や卸売業者、小売業者などが流通チャネルに含まれることとなります。

さらに流通チャネルは直接的に商品を届ける直接流通チャネルと、間接的に商品を販売する間接流通チャネルに分けられ、この間接流通チャネルは長さによって三段階に分割されています。この流通チャネルの計四段階の分類について詳細は後述しますが、基本的にはチャネルの長さが長くなればなるほど間に入る中間業者が増えるためコストがかかることになり、現代ではあまり好まれません。冒頭で紹介したように中間業者を介さずにメーカーが直接卸売業者に販売したり、あるいは小売店を通さずに卸売業者から消費者が直接購入するような購入方法も増えていることは覚えておいた方が良いでしょう。

販売チャネル

次に、マーケティングチャネルの種類に話を戻すと販売チャネルが存在しています。この販売チャネルは一般販売チャネルと呼ばれることもあり、消費者が実際に商品を購入する場所や、あるいは購入するための販売方法のことをいいます。

具体的には、消費者が赴くスーパーやコンビニ、ドラッグストアが販売チャネルの代表的な例となります。さらに購入するための販売方法という概念は最近生まれてきたものですが、身近な例を挙げるとAmazonや楽天市場などのECサイトが販売チャネルの代表例となります。もちろん最近ではメーカーが直接運営しているオンラインショップなども増えてきていますが、こちらは販売チャネルではなく流通チャネルの直接流通チャネルに含まれます。これに関しても、先ほど触れたように間接流通チャネルを含めた四種類の詳細の部分で後述しますので、そちらを参考にしてください。

コミュニケーションチャネル

最後のコミュニケーションチャネルは、流通チャネルや販売チャネルのように必ずしも目に見えるものとは限らないので少しイメージがしづらいかもしれません。コミュニケーションチャネルとは、商品やサービスの情報を消費者に知らせるための伝達手段や経路のことを意味します。具体的にはテレビや新聞などのマスメディア、そしてテレビや雑誌のCMや交通広告、チラシやダイレクトメールなどもコミュニケーションチャネルに含まれます。また、最近ではSEOサイトを利用して商品情報を発信している企業も少なくはないため、Webサイトもコミュニケーションチャネルの一つに含まれます。もちろん、WebサイトだけではなくSNSもコミュニケーションチャネルの一種だといえるでしょう。

コミュニケーションチャネルはマスメディアや広告媒体のように一方通行に情報を伝達するばかりではなく、その名の通り企業が消費者とコミュニケーションをとる場にもなりえます。企業の公式サイトから消費者がメールフォームを利用して送るメールのへの返信や、SNSの企業からの投稿に対する消費者のコメントなどがコミュニケーションの代表例となるでしょう。以前まではコミュニケーションチャネルといいつつも単に企業が一方的に情報を発信する場でしかありませんでしたが、SNSの台頭により現在はコミュニケーションが活発に行われています。企業によっては、コミュニケーションをとることによって消費者の心を掴みエンゲージメントを高めて売上に結び付けているところも少なくはありません。今後もコミュニケーションチャネルは従来の役割を超えてますます発展していくことが予想されています。

流通チャネルにおけるチャネルの長さ

先ほど、流通チャネルや販売チャネルの項目で、流通チャネルは直接商品を販売する直接流通チャネルと、長さによって三種類に分けられる間接流通チャネルと合わせて四種類存在することに触れました。ここでは、具体的に四種類それぞれの流通チャネルがどのような長さなのかを解説していきます。

0段階チャネル

0段階チャネルは、その名の通り生産者であるメーカーと消費者の間に何も存在せず直接販売する直販形式のことをいいます。先ほど販売チャネルでAmazonや楽天市場などのECサイトは販売チャネルにあたるものの、メーカーが運営しているオンラインショップは販売チャネルに分類されないことを解説しましたが、そのオンラインショップは0段階チャネルとして流通チャネルの一つに含まれます。

以前はメーカー側も直販サイトを持つことは稀でしたが、現在ではeコマースの普及により爆発的に普及しています。直販サイトはコストが削減できるためその他のチャネルを使うよりも安価に商品を提供できるだけではなく、企業としては登録情報から消費者の詳細な情報を入手することで今後の戦略構築に役立てることができ、消費者としても企業からコストを抑えることによって還元されるポイントを貯めることができお得に買い物ができるなど双方に大きなメリットがあります。企業としてもコストを抑えてポイントを付与することによって消費者が今後も継続的に自社のオンラインショップを利用してくれるのであれば、非常に得難いメリットとなるでしょう。ただし、消費者としては利用するオンラインショップが増えすぎると他社の商品同士の比較検討が面倒という側面もあるため様々なメリットがあるとはいっても必ずしも0段階チャネルを好む消費者ばかりではありません。

1段階チャネル

生産者である企業と消費者の間に何も存在しせずに直接取引を行うのが0段階チャネルですが、小売業者などの販売チャネルを1つだけ置いて販売するパターンを1段階チャネルと言います。小売業者が中間業者や卸売業者を介さずに直接メーカーや生産者から仕入れることで、通常よりも価格を抑えた販売が可能になります。1段階チャネルの中には一般的な企業が介在するチャネル形式だけではなく、ハンドクラフトの商品を多く作る人が自分でアクセサリーショップなどに持ち込み販売してもらうような形式も含まれれば、道の駅などのように農家から直接買い付けた野菜や果物を販売するような形式も含まれます。

また、生産者が卸売業者に卸した商品が通常であれば小売業者に向かうはずのところを、消費者が自分で業務用スーパーなどに赴いてチャネルを削減して結果的に1段階チャネルになることもあるでしょう。

1段階チャネルは、通常のマーケティングチャネルよりも圧倒的にコストを抑えることができます。しかしながら基本的には少量の販売しかできないため、1段階チャネルを選択できる商品やサービスは限られます。実際、商品をダース単位で扱っている卸売業者に消費者が単独で訪問して1ケースだけ購入したいといっても断られるように、場合によってはコストがかさんでも2段階チャネルあるいは3段階チャネルを選択する方が好ましい場合も少なくはありません。

2段階チャネル

今、日本で最も一般的な流通チャネルといえばこちらの2段階チャネルとなるでしょう。メーカーから卸売業者を経て、小売業者が消費者に販売する形式を2段階チャネルといいます。これは、一般的なスーパーなどのように単価が低くてたくさんの商品を取り扱う業態において一般的な流通チャネルです。1段階チャネルと比べるとコストが大きくかさむのではないかと不安視する人もいますが、多くの場合は取り扱う商品が多いため卸売業者が入ってもそれほど価格は高騰しません。むしろ先ほど提示した事例のように普段からダースやグロス単位で商品を扱っている卸売業者が消費者に直接販売するよりは圧倒的に効率的なため、総合的に見ると1段階チャネルよりも2段階チャネルの方がコストを削減できると判断する場合もあります。

3段階チャネル

最後に紹介する3段階チャネルは、メーカーから卸売業者、さらに二次卸売業者を経て小売業者が消費者に販売する業態です。「卸売業者・二次卸売業者・小売店」という三つのチャネルを挟むことから3段階チャネルと呼びますが、中間業者が多くなってしまうため当然ながら2段階チャネルよりも圧倒的にコストがかかってしまい、小売業者で販売される価格も高騰しがちです。

以前は、個人商店などの小規模な小売店が多い文具業界や駄菓子業界で多く見られる形式でした。しかしながら、現在は高速道路の発達などにより物流が従来よりも進化し、短時間でも遠い場所に大量のものを運ぶことができるようになったため二次卸売業者は減少傾向にあります。今後の物流の発展や小売業界の動きによっては完全になくなってしまうこともあるかもしれません。

マーケティングチャネル戦略の事例5選

消費者の消費行動に至るまでの動機付けや消費行動を起こしている時点での状況を深く分析し、それに対して適切なマーケティングチャネルを用意することで商品の価値を最大限まで高めるのがマーケティングチャネル戦略です。こうしてみると非常に難しそうなマーケティング戦略に聞こえますが、実際にはどのように運用されているのでしょうか。

そこでここでは、マーケティングチャネル戦略を実際に活用している企業の事例を五つ紹介していきます。それぞれの工夫についても解説していくので、マーケティングチャネル戦略を活用する際の参考にしてください。

資生堂

資生堂というとスーパーやデパートのコスメカウンターで売られている有名な化粧品というイメージを抱いている人も多いのではないでしょうか。しかし、実は資生堂はそのような小売販売形式だけではなく、情報サイトと通販サイトを兼ねる「watashi+(ワタシプラス)」というサイトを運営することによって、二つのマーケティングチャネルを持っている企業です。

コスメカウンターでは専門的な知識を持ったビューティーアドバイザーに実際に肌の調子やメイクの技術を見てもらいながら個人に合ったアドバイスをもらうことができますが、watashi+でも非常に高い精度で情報収集が可能になります。watashi+では実際のカウンセリングが受けられない代わりに、資生堂の商品を手軽に購入することができる商品カタログの閲覧ができたり、美容に関する最新のトレンドやハウツー記事を閲覧したりすることで綺麗にメイクをするためのノウハウが提供されています。

このような二つのマーケティングチャネルを持つことによって、従来のコスメカウンターには緊張してしまって行きづらいという人や勤務時間帯が不規則でなかなか営業時間内に行くことが難しい人、あるいはじっくり商品を吟味したいのにビューティーアドバイザーと話しているとついつい今までと同じ商品を買ってしまう人、そしてもちろん近くに資生堂のコスメカウンターがなくてなかなか足を運べない人の利便性の向上に寄与しています。「一般化粧品ではなく制度化粧品を買うためにはコスメカウンターに行かなければならない」という従来の常識を打ち破るマーケティングチャネル戦略によって、消費者に新たな選択肢を与えたことは間違いないでしょう。

イオン

イオンは2018年4月にアメリカのBoxedというベンチャー企業に出資するということが話題になったので覚えているという人もいるのではないでしょうか。Boxedは物流システムやAIを活用した顧客提案を専門にしている企業です。そのBoxedへの出資を行うことで、イオンはデジタルシフトを従来よりも一気に加速させました。事実、Boxedへの出資を発表した2018年にはイオンはデジタル推進部を新設し、同時にオムニチャネル推進室も配置されました。「オムニ」とは「全ての」という意味を持つ単語で「オムニチャネル」は多くの場合アプリなどを用いて消費者がオンラインショップを利用しやすいように工夫する自社独自の販売チャネルのことをいいます。

このデジタルシフトの加速により、イオンはオムニチャネル施策の受け皿として大型のオンラインショップであるイオンドットコムを開設しました。このイオンドットコムは2020年現在ではイオンのグループ会社が持つ29個のECサイトをまとめていて、消費者が買いたい商品を選択すると自動的に適したECサイトに遷移する形となっていますが、将来的にはECサイトに遷移しなくてもイオンドットコム内で全ての買い物が完結する形を目指しているようです。

ここまでの事例の内容だけでは、いくら大型のスーパーであるイオンがオムニチャネルを開設したといっても、それほど特殊な事例でもなくマーケティングチャネル戦略としては弱いと感じる人も多いでしょう。しかし、イオンはイオンドットコムの利用にイオンスクエアメンバーへの登録を必須とすることでマーケティングチャネル戦略を活用しているのです。イオンスクエアメンバーに登録すると、イオンドットコムでの買い物でもイオンの電子マネーであるWAONのネットWAONが貯まります。オンラインショップの利用でポイントが貯まる事例はそれほど珍しくないものの、このネットWAONポイントは店舗で使えるWAONポイントに交換できるという点は消費者の利便性に貢献しているといっても良いのではないでしょうか。

イオンのようなスーパーの場合、買い物を全てオンラインだけで完結させるという人はほとんどいません。専門店街も含めて家族で買い物に行きウインドウショッピングを楽しむという人は多いでしょう。そうした時、オンラインで購入した際に貯めたネットWAONポイントが使えないと不便を感じてしまいます。すなわち、イオンはネットWAONをWAONに交換できるようにすることで、消費者に「実際に見たいものは店舗で購入し、重いものや定期的に購入しているものはオンラインでの購入もできる」という選択肢を提示しているのです。これにより消費者はいつでも好きな時にイオンと接点を持つことができるようになりました。資生堂の事例のように、消費者のライフスタイルや買い物の目的によって自由に購入方法を選べるというのもマーケティングチャネル戦略の一つとなります。

ツタヤ(蔦屋家電)

ツタヤというと本やCDを売っている店舗というイメージを持っている人が多いでしょう。あるいはレンタルの際に利用するという人も多いでしょう。しかし、ツタヤはマーケティングチャネル戦略において全く新しい業態の提案を行いました。2015年5月、二子玉川に蔦屋家電がオープンしたことを覚えている人も多いのではないでしょうか。この蔦屋家電は「ライフスタイルを提案する店舗」というコンセプトの元、通常の家電量販店のように家電を販売しつつ、今までのツタヤと同様に書籍も販売しているという独特な店舗です。フロアの中でもエリアごとに売られている家電のジャンルが違うのは一般的な家電量販店と同じですが、蔦屋家電ではそのエリアを繋ぐ通路部分にエリアで売られている家電と関連性の高い雑誌を含めた書籍を置くことによって独自性を高めています。

実はこの独自性こそが、ツタヤによるマーケティングチャネル戦略であると言われています。通常、家電を選ぶ際には事前にスマホなどで情報を集めて目的のものだけを購入することが多いでしょう。しかし蔦屋家電の場合は、そうした目的の買い物だけで終わることはありません。たとえばコーヒーにこだわりがあってバリスタやエスプレッソメーカーなどを買いに来た消費者は、エリアの近くに置かれている雑誌からコーヒーをさらに楽しむためのヒントを得て補完商品を購入することもできるのです。

このように、消費者が単に買い物だけを行う場ではなく買い物を楽しめる付加価値のある場所を提供することによって、顧客エクスペリエンスを高めることができると言われています。顧客エクスペリエンスを高めることができれば、消費者は一つの買い物だけではなくそれ以降も長期的にお気に入りの店舗で購入することを決めるでしょう。結果的に、企業は熱烈な顧客を獲得し売上を安定化させることが可能になるのです。一般的に顧客エクスペリエンスを向上させるためには接客の質を高めることやコールセンターの対応を強化するなど、カスタマージャーニーマップにおいて消費者と密接に関わる部分のクオリティを高めることが求められています。しかしこの蔦屋家電の事例のように、販売チャネルの形式を競合他社である他の家電良品店と変化させることによっても顧客エクスペリエンスを向上させることができます。マーケティングチャネル戦略のうち、一つのチャネルの強化に尽力した好事例だといえるでしょう。

セブン&アイホールディングス

セブン&アイホールディングスといえば、2015年9月にオンラインショップと全国の実店舗を連動させた「Omni7」を開設したことで広く知られ、まさにマーケティングチャネル戦略の先駆けとも言われている事例です。現在でもOmni7を利用する人は多くいますが、実はこのセブン&アイホールディングスのOmni7が一度大きく減損を記録したことはご存知でしょうか。Omni7は2015年から順調に売上を伸ばしセブン&アイホールディングス自体の売上にも貢献し続けていました。セブン&アイホールディングス自体も2017年には最高益を達成しましたが、実はこの中でOmni7は234億円の減損対象になっています。実はこれは2016年にオムニチャネルを推進していた鈴木会長が退任したが影響を及ぼしていると言われています。

しかし、セブン&アイホールディングスはこの減損を受けてもOmni7を閉鎖する方向には動きませんでした。減損を受け、セブン&アイホールディングスはオムニチャネルの方針転換を計画します。具体的には1日あたり2,200万人を超える顧客データを使った詳細なCRM戦略を始めたのです。このCRM戦略とはCustomer Relationship Managementの略であり、簡単に言えば消費者とのコミュニケーションを重視することによって良好な関係を築き、今後も継続的に利用してもらえるような企業になるための戦略を意味します。そのCRM戦略の一端として、セブン&アイホールディングスはOmni7を利用するためのスマホアプリを開発しました。アプリによってWebサイトにアクセスするよりも簡単に買い物ができるようにしただけではなく、購買実績によりnanacoポイントに変換できるようなマイルの付与も開始しました。先ほどのイオンの事例で紹介したネットWAONがWAONに交換できるような仕組みを構築することにより、消費者の利便性を大きく向上させることに成功したのです。さらには貯めたマイルの量に応じてランクが変動し特典サービスを受けられるシステムを導入したことにより、以前よりもさらに消費者はOmni7を利用するようになったと言われています。

このスマホアプリのリリースは「セブンマイルプログラム」と呼ばれるマイルを使った新しいポイントサービスを可能にしただけではなく、食料品などをオンラインで購入したいほど忙しい人たちのアクセスを簡単にするという大きなメリットを提供しました。多くの場合、オンラインで食品を購入するのは子育て中で買い物に行きづらい環境にある若い世代だと言われているので、スマホアプリへの抵抗感がなかったことも成功の要因の一つとして数えらえるでしょう。

さらに、2019年には今では利用している人も多い「セブン・ペイ」を新会社として設立しました。これは新たな決済サービスの提供だけではなく上述したセブンマイルプログラムとの連携も行われていて、消費者がさらにOmni7を利用しやすくなることが予想されます。減損対象となってしまったOmni7でもアプリという利便性の高い選択肢を消費者に提示することによって、再び多くの人に利用されるサービスへと復活させることに成功したのです。

ユニクロ

最後に紹介するマーケティングチャネル戦略の事例はユニクロの事例です。言わずと知れた衣料品販売店のユニクロはマーケティングチャネル戦略の一環として早期からオムニチャネル戦略を選択している企業の一つとして知られています。ユニクロはマーケティングチャネル戦略の第一段階としてまず自社アプリを開発し、それに登録した消費者が自身の購入履歴を確認したり、個人ごとにカスタマイズされたおすすめ商品の情報を受け取れるようなシステムを構築しました。それにより買い物に対する消費者の利便性を向上させるだけではなく、さらにアプリ内で近隣の店舗とオンラインショップの在庫を簡単に確認できるようにすることによって、消費者が「ほしい時にほしいものを簡単に手に入れられる」という状況を構築したのです。商品数が多いユニクロですので実際に店舗に行っても購入したい商品を探し出せずに帰ってきてしまうという消費者も多いと言われていましたが、このアプリによる在庫確認機能を実装してからはそうした消費者の数は激減したと言われています。

さらにユニクロはアプリによって購入を簡単にするだけではなく、さらに全世界の空港や主なショッピングモールにおいてジャケットやプレミアムTシャツといった使いやすい商品を購入できる環境を整えつつあります。現在でも羽田空港など大きな空港にはユニクロの店舗が入っていますが、こうした店舗にこだわらず自動販売機型の販売形式も設置することで順調に売上を伸ばしています。ヒートテックなどの定番商品を簡単に購入することができるようになったことで、消費者は旅先の気温を見てから空港で対策を取るという選択肢も選べるようになりました。

店舗やアプリ、そして自動販売機形式を通して消費者とユニクロとの接点を増やすことにより、ユニクロは消費者にチャネルの違いを認知させることなく購入させることを可能にしました。これは消費者がどういった時にユニクロを求めるのかを理解しているからこその戦略だと言われています。

マーケティングチャネル戦略の現在の動き

3段階チャネルがなくなるなど、現在でもマーケティングチャネル戦略は非常に大きな動きを見せています。今後、ドローンを用いた輸送技術等がさらに発達していけば、今までよりも大きな変化を見せることもあるでしょう。そうした時代の変化についていきながら戦略を立案するためにも、マーケティングチャネル戦略の現在の動きを二つの視点から確認していきましょう。

オムニチャネルの増加

イオンやセブン&アイホールディングス、ユニクロなど現在ではオムニチャネルを利用する企業が急増しています。0段階チャネルとしてコストを削減できるだけではなく、ポイントの付与や送料無料キャンペーンなどを含めた様々なベネフィットを提供することにより、消費者とはあらゆる接点が持てるようになるでしょう。さらに、そうした実質的なベネフィットだけではなく、オムニチャネルを活用することにより企業と消費者間のコミュニケーションが容易になるというベネフィットもあります。すなわち、オムニチャネルをSNSのように活用することにより、消費者の需要をこれまでよりも深く知ることができるようになるのです。

顧客とのコミュニケーションをしっかり取ることにより、今まで以上に顧客のペルソナを分析できるようになるでしょう。そのようにして顧客のニーズや購買手段を知ることができれば、これまでの「どこで何を売るか」という考え方だけではなく「誰にどのように買ってもらうか」という新しい考え方を持つことができるようになります。こうした消費者の需要を掴めるベネフィットはオムニチャネルと構築して運用していくコストを考えても非常に大きいので、今後も一層オムニチャネルは増えていくことが予想されます。

インフルエンサー活用で期待できる効果

実はオムニチャネルの増加とともに予想されているのが、インフルエンサーを活用したオムニチャネル戦略です。今後オムニチャネルが増えていくと、乱立してしまい消費者としては選択に迷ってしまうことが多いでしょう。そうした時にいち早く消費者から選ばれるオムニチャネルとなるためにインフルエンサーが大きな影響力を持つのです。

インフルエンサーを利用する広告は、従来までの広告のように企業が主体的に押し付けてくるというイメージを消費者に抱かせません。そのため、SNSの広告出稿などを活用して消費者にプロモーション活動を行う際、以前よりも消費者が受け入れやすい環境を整えることができるでしょう。さらに既にオムニチャネルを活用している企業においては、そのオムニチャネルの登録情報を元に構築したペルソナを分析してインフルエンサーを起用することによって、今までよりもクリティカルに潜在的な顧客に対するアプローチが可能になるのです。今後のオムニチャネルの活用を始めとするマーケティングチャネル戦略は、単に利便性を提供するだけではなく選ばれることも意識していかなければなりません。こうした現状があるからこそ、インフルエンサーが注目を集めているのです。

マーケティングチャネル戦略はインフルエンサーを活用して価値を最大化しよう

同じ商品を提供する場合でも、提供するタイミングや提供の方法、あるいは情報提供の方法によって大きく商品の価値を左右することができるのがマーケティングチャネル戦略です。現在注目されているオムニチャネルの活用によって、今後ますますマーケティングチャネル戦略の重要性は高まっていくでしょう。こうした状況下においては、インフルエンサーを活用してクリティカルにターゲットに対するアプローチを行っていく必要性がますます高まっていきます。こうした状況に対応するためにインフルエンサーを起用するのであれば、ぜひトリドリマーケティングにご相談ください。最適なインフルエンサーの紹介だけではなく起用方法のご提案までサポートさせていただきます。