「的を絞らず、好相性客をあぶり出す」『忍者屋敷』の経営者に聞いた、創業期のマーケ戦略

【カテゴリー:客層を定めたい・認知を広げたい】

ローンチしたてのサービスにおいて、「誰に向けて照準を合わせるか」は大きな課題のひとつです。認知を広げ、反応のあった層にアプローチしていくか、それとも狙い撃ちで特定の層に響くサービスを磨き上げるか。

この悩みに対し「まずは照準を定めない」という戦法でマーケティングを行い、開始から5ヶ月で売上を2倍に伸ばしたお店があります。それは、浅草にあるコンセプト居酒屋「浅草忍者屋敷」。同店を経営する、株式会社Presidentの坂本新さんによれば、戦法には、“3つのフェーズ”があるとのこと。一体どういうことなのか、お話を伺いました。

赤字状態から売上が倍に。開始5ヶ月で感じた効果

—— もともとこちらのお店では、どんなマーケティング課題を抱えていましたか?

2019年7月にオープンして月に480万円の売上があったんですが、650万円がこの店の損益分岐点だったため、そのままでは大赤字でした。もともと海外のお客様にたくさんご来店いただきたいと考えてオープンした店なのですが、始めてみて、いきなりそこを達成するのは難しいと気付いたんです。というのも、訪日観光客の中には「日本人に人気のお店に行きたい」という思いがあるからです。そこで、まずは日本のお客様に目を向けようと考えを切り替えました。

とはいえ、取り組んだマーケティング施策とは、ホットペッパーやぐるなびなどのグルメサイトへの広告掲載程度。あとは普通のチラシ配りなどを行っていました。

 

—— そこからどんなきっかけインフルエンサーマーケティングに取り組むようになりましたか?

インフルエンサーマーケティングというものがあることは知っていましたが、1フォロワー0.1〜1円のお金がかかると聞いていたので、売上が上がっていない状況でそれをやるのはちょっと厳しいなと思っていました。そんなとき、知人の飲食店経営者から「フォロワー数に制限なく月額制で取り組めるサービスがあるよ」と紹介されて。それなら負担なく取り組めるので、ぜひやってみたいと思って取り組み始めました。

 

—— 実際に取り組んでみて、目に見える部分ではどんな効果がありましたか?

5ヶ月で売上が倍になりました。具体的には、480万円だった売上が、950万円になったんです。お店にくるお客さまの中には、「インスタ映えコースをください」という人もいれば、インスタグラマーが食べていたメニューとまったく同じラインナップで注文する人もいたので、反響の実感もありました。

また、この取り組みが直接的なきっかけとなった証拠はないんですが、インフルエンサーマーケティングを開始して以降、テレビ番組2〜3本にも取り上げられました。露出は確実に増えていたので、それによって知ってもらえたのではないかと感じています。また、仕事関係以外の知人や友人でも、うちの店を知ってくれている人が増えた体感がありますね。

ジャンルを絞らず進めたことで、好相性客が見えてきた

—— キャンペーンを作るときに工夫した点があれば教えてください。

お客様にあっと驚いてもらえるメニューを意識して提供するようにしていました。あとはなるべくインスタ映えするものですね。

 

—— 毎回、応募数の半分くらいのインフルエンサーさんを採用されていたとのことですが、どのような基準で選ばれていたのですか?

フォロワー数×いいね数の総合点が高い方を重点的に採用していました。たまに、フォロワーが多くても投稿への反応が少ない方がいたので、そういう方は外させていただきました。逆に、フォロワー数千人程度でもいいねがたくさん付いている方は採用していました。

インフルエンサーさんのジャンルは特に絞っていませんでしたね。とにかく認知を広げたかったですし、どんな方にいいと思っていただけるのかも分からなかったので。そんな感じで、これまで100〜150人くらい採用させていただいたと思います。

 

—— その結果、どんな手応えを感じましたか?

ジャンルを決めずにやっていくなかで気がついたのは、意外と子育て系や30〜40代のインフルエンサーさんの効果が高かったこと。もちろん学生さんや20代の方にもたくさん来ていただいたんですが、それよりもやや上の世代の方が投稿した後のほうが、売上の上がり幅が大きかったように思います。

あとは、お子様連れのお客様も増えましたね。当店では忍者服を貸し出しているのですが、それを着た写真を投稿してくれる方もいましたし、インスタグラムのほかにYouTubeの施策もしていて、動画だと煙が出たり爆発したりといった写真だと伝わりにくい仕掛けが見えるので、そういう楽しさがお子さんにウケたのかなと思います。

最初は広く、それから狭く狙い撃つ

—— 今回の忍者屋敷さんのケースと同じように、創業期の認知拡大を目指してインフルエンサーマーケティングを検討されている人に、経験者としてアドバイスできることがあれば教えてください。

創業時のマーケティングにおいては、3つのフェーズがあると思っていて。というのも、自分の店が誰に需要があるのかって、始めたばかりのころは意外と分からなかったりすると思うんですよね。私も最初は10代、20代などの若い方にウケると思っていました。

だからひとつは、とにかく的を絞らずにやること。そうしてメイン客層が見えてきたら、その層に響くインフルエンサーさんを起用して、もっとそこを伸ばしていくこと。ここまできたら、さらにプラスして「今お店に来ていない層に対してアプローチをする」という意識で進めると、費用対効果が一番良かった気がします。

 

—— 最後に、今後の展望をお聞かせください。

今後は、まず今お店に来てくださっている層へのアプローチを強めていき、コロナが明けて世界が落ち着きを取り戻したら、外国人客の方にも興味を持ってもらえるように努力をしたいと思っています。最終的には、日本・浅草の観光名所になることを目指して頑張ります。

 

居酒屋 忍者屋敷
■HP:https://ninjacastle.jp/
■Instagram:https://www.instagram.com/ninjayashiki888/
■住所:東京都台東区浅草1-10-5 KN浅草ビルB1階
■電話番号:03-5828-5611

取材:古谷優衣